米製薬大手メルクが開発しているがん免疫薬の「キイトルーダ」が、皮膚がんの一種である悪性黒色腫の治療薬として承認される見通しとなった。9日に厚生労働省が開いた新薬の承認を検討する専門部会で、承認して問題ないとの判断が下された。1カ月以内に厚労省から承認される見込みだ。
キイトルーダは小野薬品工業が製造販売するがん免疫薬「オプジーボ」と同じ作用を示す抗がん剤。オプジーボのライバル製品が国内で初めて登場することになる。米国では悪性黒色腫に対して、オプジーボよりも先に承認されていた。
日本では悪性黒色腫以外に、非小細胞肺がんにも承認申請されており、来年前半にも判断が下される見通し。いずれもオプジーボと対象疾患が重なり競合する。
オプジーボは年間約3500万円という薬価の高さが問題視されており、厚労省が薬価引き下げや適正に使用するための議論を進めている。キイトルーダもオプジーボと同等の薬価が付くと予想され、それらの議論に影響を及ぼすとみられる。両薬剤の悪性黒色腫に対する効果の優劣は、現時点では明らかになっていない。
同様のがん免疫薬はスイス・ロシュや英アストラゼネカ、米ファイザーなども開発中で、世界で競争が激化している。