トップ > 中日スポーツ > サッカー > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【サッカー】

タイ戦でダメ押しの2点目決めた浅野がハリルJの「顔」になる

2016年9月8日 紙面から

日本−タイ 前半、ドリブルで攻め込む浅野(手前)=6日、バンコクで(共同)

写真

 サッカーの2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア最終予選B組のサッカー日本代表は7日、タイから空路帰国した。6日の敵地バンコクでのタイ戦では、FW浅野拓磨(21)=シュツットガルト=の活躍などで2−0の同予選初勝利を収め、2試合で1勝1敗(勝ち点3)、同組3位に浮上した。“驚速”FW浅野のW杯予選初弾は、従来のスーパーサブではなく先発で決めた価値ある一発で、その存在は日本の6大会連続6度目のW杯出場に向け、大きな武器となりそうだ。

 50メートル5秒9を誇る浅野の電光石火弾が決まった直後、W杯予選初ゴールを祝うかのように試合会場となったスタジアム上空で雷鳴が響き渡った。FW本田(ACミラン)が、MF香川(ドルトムント)が決定機を外して迎えた後半30分。ハリル・ジャパンにとって貴重な追加点となる2点目は、スーパーサブではなく先発でもぎ取った得点だった。

 「正直、広島で(佐藤)寿人さんを超えたかった気持ちはある」

 時計の針を2カ月前に戻す。アーセナルへの移籍決定後(後にシュツットガルトに期限付き移籍)、浅野は漏らした。プロ3年目の昨季ブレークするも、8得点は全て途中出場でマーク。元日本代表FW中山雅史(元磐田など、現アスルクラロ沼津)のJ1最多得点記録157点を塗り替えたFW佐藤の壁は厚かった。

 1月のリオ五輪アジア最終予選決勝の韓国戦でも途中投入で2得点を挙げ、優勝に導いた。スーパーサブで輝きを放ち、窮地を救った。ただ、何度ヒーローになっても「選手である限り、先発で出たい」と本音を隠すことはなかった。そして、日本代表では歴代3位49得点のFW岡崎(レスター)が立ちはだかった。それでも、「先発で出たら絶対に決めようと思っていた」と爪を研いできた。

 タイ戦の後半30分。タッチラインの向こう側にはFW武藤(マインツ)が交代で入るために立っていた。「もしかしたら交代かな」と気付き、「最後の力を出し切った」。浮き球に頭から突っ込みトラップ、右足を強振した。スーパーサブではなく先発でネットを揺らした。救世主は千金弾の7分後に途中交代した。

 これまで岡崎、本田、香川のビッグスリーが日本代表の攻撃をけん引してきた。だが、バンコクの夜。稲光とともに、その牙城を崩す可能性を秘めた若手が現れた。ジャガーの異名を持つ快足FWが先発の座に爪を掛けた。最終予選でもうひとつ波に乗りきれない日本の救世主となるかどうか。1997年W杯予選時のMF中田英寿(当時平塚=現湘南)と同じ21歳に大化けの予感が漂ってきた。

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ