今シーズンのカープの勝利数は12球団一
広島東洋カープが強いですね。
前田健太投手がメジャーに行ったので、
戦力が落ちるかと思いきや、
若手ピッチャーの台頭や切れ目ない打線の活躍で、
気づけば首位を独走していました。
娘の影響でヤクルトスワローズを応援している私は、
最初の頃は、カープの快進撃を苦々しく思っていました。
でも、近ごろでは「あっぱれな戦い方をしてる」と拍手しています。
優勝マジック1になってからは、ちょっと足踏み状態ですが、
25年振りの劇的な瞬間が見られるかも知れません。
私を野球ファンに変えた伝説の試合
年齢がばれてしまいますが、昔の話をします。
いまから37年前の昭和54(1979)年、
私は中学2年生でした。
どちらかというと頭でっかちで運動神経がイマイチなので、
野球にはほとんど興味がなかったんですよ。
たまに母や姉と高校野球のTV中継を観て、
地元のチームを応援していたんですが。
当時の私はいろんな事情からいじめに遭っており、
そのせいで投げやりな性格になっていました。
唯一、勉強の成績だけは自慢できるものでしたが、
逆にそれが生意気だとバッシングされ、
様々な言葉で罵倒される日々が続いていたんです。
ときには暴力を受けることさえありました。
学校に行きたくないと親に訴えても、
ただ「我慢しなさい」と言われるだけで、
解決の糸口は見つかりませんでした。
それならもう、家出をしてやろうと思い、
私は荷物をまとめて計画を実行しようとしました。
ところが運悪く、
社会科担当の男性教師に見つかってしまったんですよ。
そのT先生はクラスメートの家に用事があったんですが、
幸か不幸か、捕まってお説教をされてしまいました。
T先生「○○、そんなに荷物を抱えてどうしたんだ?」
私「せ、先生には関係ありません!どこ行こうと私の勝手じゃないですか!」
T先生「家出なんてしてもろくなことはないぞ。
お前は頭がいいんだから、いじめに負けない方法を考えればいいじゃないか」
私「・・・そんなの、わかりません」
T先生「じゃあ、おれが宿題を出してやる。
いまからうちに帰ってTVを観ろ。広島と近鉄の試合をやっているはずだ。
観たら、その感想文を書いて持って来い」
プロ野球の試合を観るのが宿題だとは、
なんとも珍妙な話ですが、
あとになってT先生の言った意味がよくわかりました。
この日、昭和54(1979)年11月4日は、
球史に残る名勝負の「江夏の21球」があった日なんです。
これは本当にすごい試合でした。
野球のことなんてまったくわからなかった私にも、
すごい緊迫感がブラウン管から伝わってきて、
感動で胸が震えましたね。
江夏が抑えきれば広島、
紙一重で優勝が決まる非常にスリリングな内容だったんです。
結果は4-3で広島が球団史上初の日本一に輝いたんですが、
私はT先生に出されたミッションをクリアしなければならないので、
両球団の歴史を野球オタクの従兄弟に聞きました。
従兄弟はジャイアンツファンですが、
広島と近鉄についていろいろと説明してくれました。
彼の話によれば・・・
どちらもかつては、
「リーグのお荷物」と言われるほどの弱小球団だったんです。
何も知らない私は、最初から強いチームだと思っていたので、
その意外さに驚きました。
さらにカープが誕生した経緯は原爆からの復興ともつながっており、
苦労に苦労を重ねた上で、優勝決定戦に出てきたんだと知りました。
これは私に大きな勇気を与えましたね。
どんなに弱くても、
努力次第で必ず勝てる日が来るんです。
このことをT先生への感想文に書いたんですが、
それを読んだクラスメートたちは広島と近鉄の歴史を知らなかったので、
「○○、すげえな」とか「○○ちゃん、よく調べたね」と、
次々に私のことを褒めてくれました。
それからは以前ほどの酷いいじめはなくなり、
誰かに悪口を言われてもスルーできるようになったので、
学校生活でのしんどさはほとんどなくなりました。
落選してしまいましたが、
生徒会長にも立候補したことがあります。
このことがキッカケで、私は野球が大好きになったんです。
やがて従兄弟と三角ベースをしたり、
古い時代の記録についても勉強するようになりました。
妙香のまとめ
三度のご飯よりカープが大好きという人でした。
社会科の授業の途中でも、
カープの選手を歴史人物に例えたりしていました。
もし、あの時T先生に捕まっていなかったら、
「江夏の21球」を観ることはなかったでしょうし、
ツッパリ少女になって、荒れた青春時代を送っていたかも知れません。
彼が昭和61(1986)年に引退してから、寂しくなってしまい、
だんだん他チームを応援するようになって、現在に至っています。
でも、今年のカープは、
当時のチームと似ているような気がするので、
また応援してみたいですね。
25年振りの優勝とは選手もファンもうれしいでしょう。
今夜は久しぶりに、
プロ野球のTV中継を観ようと思います。