海外投資家が取引の約7割を占める一方、個人投資家の裾野は広がらず、個人金融資産の過半が現預金――。そんな日本の株式市場の構造は、「アベノミクス相場」を経てもなお、大きくは変わっていない。その理由は何なのか、どのように変えていくべきなのか。ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー・松井氏と、大和総研副理事長の川村雄介氏に聞いた。(聞き手 橋田正城・神山純一)

■キャシー・松井氏(ゴールドマン・サックス証券副会長)

 ――日本は、個人金融資産が預貯金に偏っていると指摘されてきました。どこが問題なのでしょうか。

 「生活、とりわけ退職後の生活水準を維持するために、投資にお金を振り向ける必要があります。比較的高い金利であれば問題ないかもしれませんが、今はそうなっておらず、お金がお金を生まない状況になっているからです」

 ――こういう国は珍しいのですか。

 「いえ。昔のドイツやイタリアなどは、日本以上にリスクを避ける傾向でした。預貯金以外に魅力的な金融商品の選択肢がなかったのです。でも、ドイツは変わりました」

 ――どういうことですか。

 「欧州統合を控えた1990年…

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