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鬼怒川堤防決壊から1年 家は人は戻るのか…先が見えない

自宅のあった場所を示す渡辺さん
自宅のあった場所を示す渡辺さん
Photo By スポニチ

 昨年9月の関東・東北豪雨による鬼怒川の堤防決壊から10日で1年。広範囲に浸水した茨城県常総市では、2人が死亡、住宅5000棟以上が全半壊するなど大きな被害が出た。1年が経過し、家の修理や再建を終えた人がいる一方で、今も自宅に戻れない人もいる。

 約200メートルにわたり堤防が決壊した三坂地区。決壊地点の再建工事は終了し、約60メートルにわたって地盤が流失した県道も全面開通した。地盤がえぐられた場所は真新しい土で埋め立てられたが、そこに建っていた9軒の住宅はなく、激流に耐えた「ヘーベルハウス」が立っているだけだ。

 「このあたりに母屋があって、こっちの方には物置があったんだよ」。自宅を流され、現在は市提供の住宅に家族6人で住んでいる渡辺操さん(71)は、更地を歩きながら自宅があった場所を示した。

 これまで受けた公的支援は県と市からの義援金100万円と、全壊世帯に対する国の支援制度による100万円の計200万円。家を新築すればさらに200万円が支給されるが、3000万円以上の自己負担が必要といい「地区の全員が戻って生活することが復興。みんな事情があり先は見えない」と話した。

 問題は、資金面だけでない。地盤沈下の不安を感じ「しばらく様子を見てから」と話す人もいる。また、同地区の登記簿は明治時代のもので正確さを欠き、それぞれの土地の境界線を住民らで話し合い、時間もかかっているという。

 床上浸水し、現在も親類宅で暮らす山本信二さん(78)は「年寄りは戻ってきたいと思っているけど、若い人は戻る気がないんだ。この辺は、家は6割ぐらいまで減ると思う」と寂しそうに話した。

 市によると、同市の人口は被災前に比べて約800人減少。20、30代の転出が目立つという。自宅が半壊した鈴木正治さん(47)は「若い人がいないと活気が出ない。会社の若手は、ほかの市に引っ越してしまった。常総市はまだまだです。それを忘れてほしくない」。水害から1年、まだ苦しんでいる人は多い。

[ 2016年9月10日 05:30 ]

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