断じて容認できない暴挙である。北朝鮮がきのう、核実験を強行した。ことし1月に続き、これで計5回目となる。

 北朝鮮の建国記念日に合わせたとされる。指導者の金正恩(キムジョンウン)氏は国内の求心力を高めるとともに、米国や韓国など国際社会に核保有国としての地位を認めさせたい狙いがあるのだろう。

 だが、それは大きな過ちだ。国力を核実験で誇示しようという異常な行動で、対外政策が有利に進められるわけがない。

 核とミサイルの連続実験は、かつてないほど地域の緊張感を高める恐れがある。朝鮮半島にもはや南北の平和的共存など望めないとの悲観論が高まれば、米韓との交渉も遠のく。金正恩政権は自ら成算のない道を突き進んでいることを悟るべきだ。

 日米韓の意向を受け、国連安保理は緊急会合を開く。できるだけ早く、効果のある制裁決議を採択し、国際社会としての意思を明示すべきである。

 3月にも安保理は制裁を決議し、これまでで最も厳しい内容とされていた。だが現実にはその後も北朝鮮の行動は悪化し、決議後だけで20発以上のミサイルを撃ち続けている。

 ミサイルの能力は増し、今回の核爆発の規模は過去最大とみられている。日韓だけでなく、今や太平洋を隔てた米国にとっても明らかに現実の脅威だ。

 中国はこの情勢から目をそらすことなく、安保理での制裁強化に協力すべきである。

 北朝鮮の経済を支えているのは中国だ。3月の制裁後も中朝間の主な物流は大きく変化していないとの指摘があり、制裁の実効性が疑問視されてきた。

 このまま北朝鮮の暴走が続けば、周辺国が備えを強め、軍事バランスに変化がでるのも避けられまい。米韓のミサイル迎撃システムを批判するなら、中国はその原因をつくる北朝鮮への制裁に本腰を入れるべきだ。

 一方、日米韓も、この北朝鮮問題の悪化をどこかで食い止める方策を練らねばならない。

 北朝鮮を核保有国として認める選択肢はありえないが、現状のままでは大量破壊兵器の開発に時間を与えるだけになる。

 米オバマ政権はこれまで「戦略的な忍耐」とも呼ばれる姿勢をとり、北朝鮮との接触を拒んできた。だが、この膠着(こうちゃく)状態を打破するには新たなアプローチを検討すべきではないか。

 5月の朝鮮労働党大会で金氏は核保有を強調しつつ、米韓との対話も求めた。韓国政府には抵抗感が強いとみられるが、まずは核・ミサイル開発を凍結させる道を探る必要がある。