業界注目のビットコインの技術 専門家がシンポジウム

業界注目のビットコインの技術 専門家がシンポジウム
世界に衝撃を与えたインターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の技術が、世界の経済や社会を変える可能性があるとして、今、幅広い業界の注目を集めています。こうしたなか、さまざまな専門家が集まって新たな技術の動向や今後の展開について話し合うシンポジウムが開かれました。
「ビットコイン」は2009年に誕生したインターネット上の仮想通貨で、情報を1か所で集中管理せず、暗号化して複数のコンピューターで共有し、改ざんを防ぐ「ブロックチェーン」という技術が取り入れられています。この技術は外部からの攻撃に強く、さまざまな分野に応用できると注目を集めていて、8日のシンポジウムには、IT業界や金融機関などからおよそ150人が参加しました。

この中で、情報経済学が専門の国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの高木聡一郎准教授は「家電製品どうしが通信しあって、使用量に応じた対価をやり取りするなど、サービスや物の価値が根幹から変わる可能性がある」と技術の革新性を強調しました。また、日本マイクロソフトの榊原彰最高技術責任者は「世界の大手銀行が共同で業界の規格の策定を始めたり、欧米を中心に著作権の管理に活用したりするなど、さまざまな分野で動きが加速している」と現状を報告しました。

経済産業省は「ブロックチェーン」の活用が期待される国内の市場規模は67兆円と試算し、今後、研究や開発を支援していきたいとしています。

ブロックチェーンとは

「ブロックチェーン」は、インターネット上の仮想通貨、「ビットコイン」が生まれる基となった技術です。

「ビットコイン」はどの国にも属さない世界共通の通貨として、2009年に有志の手で誕生したインターネット上の仮想通貨で、現在も世界で利用者が増え続けています。最大の特徴は中央銀行のような流通を一元的に管理する仕組みがないことで、その代わり、取り引きの記録は暗号化され、インターネットでつながった複数のコンピューターで共有されます。

記録はコンピューターどうしが互いに監視し合う形で結びつけられているうえに、複数の暗号技術が組み合わせられているため、改ざんが極めて難しく、システム全体が停止するリスクも小さいとされています。

これが「ブロックチェーン」です。この技術は大きなデータを扱いにくいなどの課題は残されていますが、世界の金融の仕組みに大きな影響を与える可能性があると言われ、日本の金融機関でも活用に向けた動きが出ています。また、東南アジアのミャンマーの金融機関では、「ブロックチェーン」を基に日本企業が開発したシステムで、実際の取り引きの記録を管理する実験が行われています。さらに、金融以外でも土地の登記簿や電子カルテ、製品の流通における仕入れから販売までの管理など、さまざまな分野での活用を想定した技術開発が進められています。