ちしきの金曜日
2016年9月9日
A long time ago in a galaxy far, far away...
1977年に第1作が公開されて以来、世界中で絶大な人気を誇るスター・ウォーズ・シリーズ。昨年『フォースの覚醒(エピソード7)』も公開され、ファンの熱狂ぶりもヒートアップ。ぼくも小学生の時に旧三部作を見て夢中になったものだ。 作中で最も尊敬を集めるジェダイ・マスター、ヨーダ。実は日本に彼の雄姿が残されていることを知るものは少ない。その偉大さとは裏腹に非常に小柄で身長66cmとされるが、日本のそれはなんと3km。 彼がいる場所は山形だ。 山形ヨーダもってまわった出だしの文章で申し訳ない。とにかくまずはその身長3kmのヨーダをご覧いただこう。
山形にいらっしゃるマスター・ヨーダ。
ほら! いらっしゃる! どうですか! スター・ウォーズに興味のない方には申し訳ない。「Yoda」で画像検索などしてみてください。
分かりづらいかもしれないので、頭を上にして色づけしたものを以下に。 杖をつき、なにかありがたい教えをさずけているヨーダ。山形で。(Google earth に表示したものをキャプチャ・加工。Google / Image @ 2016 DigitalGlobe Data SIO, NOAA, U.S. Navy, NGA, GEBCO / Data Japan Hydrographic Association [Google Earth ガイドライン による権利帰属表示])
山形市街の南で、裾に山形新幹線をまといつつ、天童市のほうを向いているヨーダ。ありがたい。
これは「GPS地上絵」としてぼくが描いたヨーダの絵だ。「GPS地上絵」はぼくのライフワーク。これはなにかというと、カーナビなどにも使われているGPSを利用した遊び。 あらかじめ地図上に絵を描いておき、GPSロガーを持って、実際にその通りに歩く。すると軌跡が記録されるので、そのデータを地図ソフトなどに重ねて「絵が描けた!」とにやにやする趣味。 いわば自分自身を筆先に、地面をキャンバスにして描く絵だ。 これまで全長6kmの全長6kmのタツノオトシゴなどさまざまな地上絵を描いてきた。高じて先日はロンドンでも。 で、今回は地図を見ていたら山形にヨーダを発見したというわけ。かなりいい出来だと自負している。 以下は今回描いた軌跡を動画にしたもの。 途中停まってるのは休憩やコースを確かめているところ。(Google earth に表示したものをキャプチャ・加工。Google / Image @ 2016 DigitalGlobe Data SIO, NOAA, U.S. Navy, NGA, GEBCO / Data Japan Hydrographic Association [Google Earth ガイドライン による権利帰属表示])
小さければ小さいほど設計図としては優秀だ。極端な話、いくらでも大きくてよいのなら何の絵だって設計できる。実際に移動して書く際の労力を考えても小さい方がいい。
そういう意味では今回のはかなりよい設計。大きさ3kmというのは、この密度の絵としてはすごく小さい。ヨーダにしてはかなり大きいけど。 しかし道のりは40kmここからは、実際に山形で描いた時の様子をご覧ください。
セブンイレブンの「ネットプリント」で設計図をプリントし、いざ描画!
自慢げに「かなり小さい」なんて言ったけど、現地での描画道のりはけっこうな長距離だった。前出の完成図と動画をご覧いただければ分かると思うが、顔の細かいシワと「行って戻って」が多いことにより、結局トータル40km弱の道のりになった。
40kmか……。これは歩いては無理だなどうしよう、と悩んでいたところ、さいわい山形駅の観光案内所でレンタサイクルのサービスを行っていることがわかった。 「城下町」をウリにしておられるが、城方面にはまったく行きませんでした。すみません。
受付で「どちらへ?」と聞かれた。とっさにうまく答えられなかった。まさか「ヨーダを描きに」とは言えない。
自転車があってよかった、とほっとしたのだが、この「ほっ」は時期尚早であった。自転車でもつらかった。以降、もっぱらいかにつらかったかのレポートになります。
自転車で40kmなんてたいしたことないじゃないか、という頼もしい体力をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。ひよわですまん。ぼくは40km走るのに、最終的に6時間かかりました。 まず、自転車を借り受けた山形駅からヨーダの出発点まで数キロ。この時点ではマスター・ヨーダを描ける期待でワクワクしていた。 途中、絵に描いたような「ザ・ロードサイド」の風景に出会って興奮した。一般的にはこういうの「悪い景観」と断じられるんだろうけど、こういう風景にすごく惹かれる。以前「そこらじゅう木曽路」で地元のロードサイドを愛でたことがある。いいなあ。
で、スタート地点は、なんてことない住宅街の一画。
ここが記念すべきスタート地点。ヨーダの腋。
こういう、地上絵でもやらないかぎりぜったい来ないだろうな、っていう街が自分にとって重要な場所になる、っていうのがすごくおもしろい。と毎回思う。
ちなみに、ここをスタート地点にしたのは、ここだけ「一筆描き」にできない箇所だからだ。前出のマップをじっくりご覧いただければわかるが、ここだけ道がつながっていないのだ。 自分が歩いた軌跡がすべて残ってしまうGPS地上絵は、必ず一筆書きで移動しなければならない。つまり、スタート地点はゴール地点である。なので、ほんらいどこからはじめてもいいのだが、今回はここだけどうしても線をつなげることができなかった。なので、ここをスタート/ゴールにせざるを得ない。 結果として、よく見ると腋に微妙に穴があいてしまったが、通気性がよくなってマスターもお喜びのことと思う。 ともあれ、ここからスタートだ。
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