大気中の放射性物質の量に異常ないか監視 原子力規制庁

大気中の放射性物質の量に異常ないか監視 原子力規制庁
北朝鮮が核実験を行った可能性があるとして、原子力規制庁は、全国各地で大気中の放射性物質の量などに異常がないか、監視を強めています。
海外で核実験などが行われた可能性がある場合、原子力規制庁は、防衛省や環境省などと協力して日本に放射性物質が飛来しないかどうか影響を監視することになっています。
具体的には大気中や地上で「ちり」などを採取し、核爆発の際に出るキセノンなどの放射性物質が含まれていないかどうか、分析する頻度をひと月に1回から、1日1回に増やすとしています。
また、全国に設置された観測施設の放射線量の値に変化がないか監視を続けるとしています。
原子力規制庁によりますと、9日午前10時半現在、各地の放射線量の値に異常はないということです。
そのうえで、「地下での核実験の場合、大気中に放射性物質が放出される可能性は低いと言われている。過去4回の北朝鮮の地下核実験でも日本で異常な値は検出されていない」としています。
また規制庁は、自衛隊機による大気中のちりの収集を効率的に行うため放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」を使って、北朝鮮から一定の放射性物質が放出されたと仮定した予測を実施しています。

核実験の監視体制は

核実験については、CTBT=包括的核実験禁止条約に基づく国際的な監視の仕組みがあります。

具体的には、爆発によって発生する地震波、海中を伝わる音波、大気の微妙な振動、大気中に放出された放射性物質の4種類のデータを、世界各国に整備された施設で24時間態勢で監視しています。
日本にはこのうち、地震波を観測する施設が長野市松代町など6か所、大気の振動を監視する施設が千葉県いすみ市に1か所、そして、放射性物質の監視施設が群馬県高崎市と沖縄県恩納村、茨城県東海村に3か所あります。

また、核実験が行われた場合、政府は日本に放射性物質が飛来していないかどうか監視することになっています。
具体的には、全国に設置されている放射線を計測するモニタリングポストのデータや、大気中のちりや雨などを採取し、核実験に由来する放射性物質が含まれていないかなどを調べます。

緊急の観測は、北朝鮮が地下核実験を行ったことし1月、3年前の平成25年、7年前の平成21年、それに10年前の平成18年にも実施され、その際には異常な値は検出されませんでした。