基準の460倍の六価クロム化合物を検出
堺市は8日、堺区七道東町の並松公園の土壌から、最高で環境基準の460倍の六価クロム化合物が検出されたと発表した。シアン化合物も検出された。今年5月、公園北隣にあったメッキ工場の解体現場で化学薬品が漏れており、市が経緯を調べている。
市によると、工場の解体は5月ごろから始まり、住民から「異臭がする」などの通報が寄せられた。市が解体業者に事情を聴くと、廃液を積み込む際に工場敷地に漏出し、ガスが発生していたことが判明した。
市は8月末、公園内の4カ所を調べたが、2カ所で基準値(1リットル当たり0.05ミリグラム)を上回る六価クロム化合物を検出。このうち1カ所では23ミリグラムに達していた。別の地点では0.2ミリグラムのシアン化合物も検出された。いずれの物質もメッキ加工の際に使われ、毒性が強い。六価クロム化合物は皮膚の炎症を起こす可能性がある。住民1人が喉の痛みを訴え受診したが、市として健康被害は確認できていないという。
市は8日、公園をフェンスで囲って全域を立ち入り禁止にした。年内にも土を撤去し、廃棄物処理法違反で被害届を出すことも検討する。調査までに時間を要したことについて、堺市の山上英信・公園緑地部長は「地権者への説明や市役所内部の調整に手間取った。批判は真摯(しんし)に受け止め、早急に対応する」と謝罪した。【椋田佳代】