【萬物相】「輸送報国」韓進海運の破綻

 08年にリーマン・ショックが起きると、無理な経営はブーメランとなって跳ね返ってきた。11年以降、3年続けて1兆ウォンを超える赤字を出すや、崔氏は経営権を夫の兄である趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長に譲って手を引いた。崔氏は年俸や退職金として93億ウォン(約9億円)を受け取った。ソウル・汝矣島の韓進海運社屋を所有しており、毎年140億ウォン(約13億円)の賃料収入を得ている。3カ月前、韓進海運が自律協約(銀行団主導の経営再建支援)を申請した際には、保有していた韓進海運株30億ウォン(約3億円)相当を事前に売却し、検察の捜査まで受けている。

 韓進海運が経営破綻(はたん)し、法定管理(会社更生法に相当)に入ったことで、世界各地で物流混乱が起きている。韓進グループは先日、政府の圧力に耐えかねて韓進海運に1000億ウォン(約93億円)を支援する方針を発表した。そのさなかにも、政府と韓進海運は互いに責任を押し付け合うばかりで、同社に輸出貨物を任せた企業が気をもんでいる。会社がこの状況に至ったのは、結局は誤った経営のせいだ。にもかかわらず、崔恩瑛氏は私財を投じないだけでなく一言の謝罪さえしていない。常に「輸送報国(輸送業で国に報いる)」を口にしていた夫と義父は今、あの世でどんな気持ちだろうか。

キム・テグン論説委員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】「輸送報国」韓進海運の破綻

right

関連ニュース