世界の電気自動車(EV)用バッテリー市場でサムスンSDI、LG化学など韓国メーカーが相次ぐ悪材料で苦戦している。米テスラ、GM、日本の日産、トヨタ、ドイツのフォルクスワーゲンなどメーカー各社がEV市場に参入し、バッテリー市場も急激に拡大しているが、韓国1、2位を争う両社はなかなか突破口を見いだせずにいる。
バッテリーメーカー間の競争が激化し、価格が低下する中、レアアースなどの原材料価格が急騰し、韓国メーカーの収益性が悪化している。さらに中国政府は世界最大のバッテリー市場に浮上した自国市場を守るために規制を強化しており、トヨタなどの自動車メーカーは過去の韓国企業のような垂直系列化によるバッテリー直接生産に乗り出している。
サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシーノート7」のバッテリー爆発事件による後遺症も懸念される。中国政府が韓国製バッテリーの安全性問題を取り上げ、規制を強化する可能性が高いからだ。
■暗礁に乗り上げた韓国メーカー
EV用バッテリーの重要素材は炭酸リチウムと人造黒鉛だ。両素材はスマートフォンに続き、EV市場の拡大で需要が急増しており、価格が急騰中だ。炭酸リチウムは昨年8月の1キログラム当たり43.86元(約671円)から先月には121.2元(約1855円)へと約3倍に上昇した。人造黒鉛は昨年8月の1キログラム当たり7.82ドルは最近は13ドルまで上昇した。一方、EV用バッテリー価格は2年前の半額まで値下がりした。中国メーカーが100社以上乱立し、供給過剰状態が続いているためだ。
サムスンSDIとLG化学が一貫して重視してきた中国市場はますます狭き門となっている。中国政府は今年初め、両社が生産するバッテリーの安全性問題を指摘し、中国国内でのEVバスの補助金対象から除外した。また、6月に発表した「第4次EVバッテリー認証メーカー」から理由説明なしで韓国企業を脱落させた。業界は中国政府が「中国で1年以上工場を操業していなければならない」という理由を仕立て上げたとみている。昨年下半期に中国の西安、南京で現地工場を稼働させたサムスンSDIとLG化学に直撃弾を浴びせた格好だ。バッテリー業界関係者は「中国政府が自国のバッテリー業界を保護するため、意図的に技術力で一歩リードした韓国企業を排除した」と指摘する。