八百板一平
2016年9月4日03時00分
太平洋戦争中に旧日本陸軍の毒ガス兵器の工場があった大久野島(広島県竹原市)を題材にした小説「大久野島からのバトン」を、児童文学作家の今関信子さん(73)=守山市=が出版した。「戦争の記憶をどう引き継ぐのか。考えるきっかけにしてほしい」と話す。
大久野島は、竹原市沖の瀬戸内海に浮かぶ周囲約4キロの島。戦時中に陸軍の毒ガス兵器の工場があった。現在は、毒ガス貯蔵庫などの遺構や資料館が戦時の歴史を語り継いでいる。
今関さんは、15年ほど前から島に通って資料や証言を集め、執筆を進めてきた。戦時中の1942年生まれで、幼い頃、空襲を避けて飛び込んだ防空壕(ごう)の闇を今も覚えているという。平和運動に力を注いだ児童文学作家の故・古田足日(たるひ)さんらの勧めもあって、あの戦争を「きちんと書き残したい」と考えてきた。
物語の主人公は、滋賀県の架空…
残り:598文字/全文:956文字
新着ニュース
おすすめ
おすすめコンテンツ