産経記者、市に資料 大津、行政訴訟巡り原告音声も渡す
民間業者による競走馬育成施設整備事業を認可した大津市の決定が違法だとして、住民が認可の取り消しを求めている民事訴訟で、産経新聞大津支局の記者が住民側の会見内容を録音した音声データや配布資料を訴訟相手の市に渡していたことが8日、わかった。
同事業は、市内の約70ヘクタールの山林を開発し、競走馬約500頭を収容する厩舎などを整備する計画。住民側は、馬のふん尿を処理する設備が不十分で、付近の川に汚水を流すとして、認可の取り消しを求めている。住民側は提訴後の5日に滋賀弁護士会館で会見を開いた。
市によると、住民側の会見後に報道各社からコメントを求められたが、提訴の内容を把握していなかったため、市職員が市役所で産経新聞の記者に内容を確認。その後、別の記者がICレコーダーや訴状などの資料を提供したという。
産経新聞社は「記者指針」で、「取材して得た情報は基本的に報道目的以外に使ってはならない」としている。産経新聞社広報部は「取材過程において、取材データの取り扱いに軽率な行動があったことは遺憾。記者教育を徹底する」とコメントを出した。
原告代表の男性(82)は「市側の決定を違法だと主張している訴訟なので、会見のデータなどがそのまま相手側に渡ったのは、本当に残念だ」と話している。
【 2016年09月08日 23時30分 】