拙ブログで記事をアップする際、擁護派の皆さんが訪れるような場所は、一通りチェックしております。

本日、またもSTAP論文が引用されたという話が持ち上がっています。

引用されている論文↓
http://www.nature.com/articles/srep27803
http://www.nature.com/articles/ncomms12144

公表された論文で引用されているからと言って、取り下げられたSTAP論文が正しかったということは決してありません。

埋もれちゃうといけないので、こちらの記事「クロマチン、ヌクレオソーム、転写因子と多能性幹細胞」も是非ご一読ください。

取り急ぎ。

2016.08.16 15:20追記、修正。
2016.08.16 16:35下記赤字部追記。タイトルから【速報】を削除。
http://www.nature.com/articles/srep27803で引用している部分↓
Stress based in vitro OCT-4 expression has been reported previously for stem cells  14,21.


この2つの文献を引用してますが、過去に、ストレスでOCT4を発現したとするレポートの一例として紹介しているだけです。
※OCT4を発現したこと、イコール、「多能性幹細胞樹立」、にならないことにご注意ください。理化学研究所の検証実験でも、OCT4の発現は確認されましたが、多能性(キメラ胚の作製)は確認されませんでした。
14.
Hjelmeland, A. B. et al. Acidic stress promotes a glioma stem cell phenotype. Cell Death Differ 18, 829–840 (2011).
21.
Obokata, H. et al. Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 505, 641–647, 10.1038/nature12968 (2014).

http://www.nature.com/articles/ncomms12144で引用している部分↓
Reports on stimulus-triggered acquisition of pluripotency24 were re-evaluated by multiple analyses, including analysis of the genomic integrity of the samples using comparisons between the published CHIP-Seq data25.


STAP論文について、複数の再検証解析が行われており、その一つ(文献25)は、STAP現象は再現しなかったことを報告した論文です。
24.
Obokata, H. et al. Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 505, 641–647 (2014).
25.
De Los Angeles, A. et al. Failure to replicate the STAP cell phenomenon. Nature 525, E6–E9 (2015).

自称ジャーナリストさまには、せめてSTAP論文がどういう文意で引用されているか、確認してからブログ記事をアップしていただきたいものです。

2つの論文は、いずれもポジティブな意味での引用ではありません。後の論文は、極めてネガティブな意味で引用しています。
どこをどう読むと、「小保方さんの発明した理論は多くの研究者に影響を与え、インスパイアを引き起しています。否定しているのは日本だけです。」になるのでしょうか?
「」部引用元:http://blog.livedoor.jp/obokata_file-stap/archives/1060247545.html