iPhone 7、7 Plusの発表を見終えて、まず感じたのが「これってiPhone 6ss、6ss Plus?」ということ。これまで、iPhoneは末尾の数字が変わるたびに、画面サイズやデザインを大きく変えてきていました。一方で、iPhone 7はiPhone 6や6sと、iPhone 7はiPhone 6 Plusや6s Plusと画面サイズが同じで、解像度も同じです。
筐体を見ると、背面にあり、悪い意味で存在感を主張していた通称「Dライン」がなくなり、よりスッキリはしています。一方で、丸みを帯びた、良くも悪くも今風のスマートフォンといったデザインの大枠は変わっていません。iPhone 3G、3Gsでは樹脂だったものが、iPhone 4、4sでガラスに変わり、縦に長くなったiPhone 5、5sといった変化がないのです。iPhone 6ss、6ss Plusと感じたのは、そのためです。
確かにCPUのスペックは上がり、電池の持ちもよくなり、おまけにLTEの対応バンドも増え、通信速度も上がっています。また、iPhone 7、7 Plusともにカメラが進化しており、特に7 Plusは初のデュアルカメラを搭載しているなど、機能面がまったく進化していないわけではありません。iPhone 7 Plusの光学ズームは、メシ撮りをする際に、影が入らないような構図にできるなど、メリットもあると感じています。
CPUや液晶、カメラのスペックは確実に向上
とは言え、これまでのiPhone 6sやiPhone 6s Plusのカメラに大きな不満があったわけでもなく、むしろ、スマホとしては十分なクオリティに達していると感じていました。これ以上、カメラがよくなったところで、正直なところ、違いが明確に分かるのかは微妙なところ。iPhone 7 Plusに関しては、あえて2つセンサーを載せるのであれば、写真を撮る以外の何か革新的な用途を見せてほしかったのが本音です。
2眼カメラで光学ズームが可能になった
ところが、日本市場という視点を加えると、この見方も変わってきます。やはりインパクトが大きかったのは、FeliCaへの対応。しかもApple Payに統合する形で、実装してきました。何より大きいのが、Suicaに対応していること。カード型のSuicaを使っているユーザーは、iPhoneにタッチするだけで、機能を移すことができます。もちろん、Android向けのモバイルSuicaなどと同様、iPhone上での残高確認やチャージも可能。完全に同一というわけではありませんが、おサイフケータイのような機能が実現したわけです。
日本でのFelica対応が発表された
おサイフケータイの主要サービスの1つであるiDも、FeliCaのApple Payに対応します。これまでのiPhoneは、おサイフケータイに対応していないことが弱点の1つでした。利用者の数は限られているものの、おサイフケータイは一度使うとなかなか手放せない機能の1つ。かく言う筆者も、フィーチャーフォン時代におサイフケータイに出会い、今もAndroidスマホで使い続けています。こうしたユーザーが、iPhoneにスムーズに移行できる点は、大きな変化と言えます。
SuicaやiD、QUICPayが利用可能に
同様に、防水・防塵仕様も、日本では、グローバルとは違った感覚で受け止められたはず。おサイフケータイと同様、防水・防塵もフィーチャーフォン時代に対応が始まり、3キャリアの競争が過熱した結果、日本製の端末には標準的に実装されてきました。スマホになってもそれは変わらず、ソニーや、富士通、シャープ、京セラのお家芸のようになっていました。グローバルメーカーのサムスンも、徐々に防水を取り入れていたところですが、日本では欠かせない仕様の1つになりつつありました。ここにiPhoneが対応したのも、個人的には大きなポイントだと感じています。
防水・防塵にも対応
今回のiPhoneは、それら以外にも、LTEの1.5GHz帯に対応し、3波のキャリアグリゲーションが可能になるなど、周波数的にも、日本市場に特化しています。少ないSKUでグローバル展開するというのがアップルの定石でしたが、iPhone 7、7 Plusに関しては、正真正銘の「日本版」が用意されているほど。ガラケーやガラスマならぬ、「ガラiPhone」とも言えそうなほど、日本のユーザーを厚遇しています。
日本専用のモデル番号が用意された
冒頭では、iPhone 6ss、6ss Plusのようと書きましたが、こと日本市場では、正真正銘のiPhone 7、7 Plusであると言っても過言ではありません。諸外国に比べて極端にiPhone比率が高い日本ですが、やはり、この市場は、アップルにとっても無視できなかったことがうかがえます。