今日はBABYMETALの話。ニューアルバムの『METAL RESISTANCE』がいよいよすごいことになってきている。
聴いた瞬間「名盤!」と直感するクオリティだったけれど、おそらく今年を代表する一枚になると思います。今出てる『ミュージック・マガジン』にはここに至るまでの道程を解説した原稿を書きました。
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が、ここで書くのはそこからの話。
ニュースにもなっていた。アメリカのビルボード・アルバム・チャートで39位。ハード・ロック部門では2位、ロック部門では5位になっている。日本人アーティストがトップ40位以内に入ったのは「坂本九以来の快挙」だという。
各国チャートの結果はこんな感じ。
日本:2位
アメリカ:39位
イギリス:15位
ドイツ:36位
フランス:145位
オーストラリア:7位
各国で着実に広まりつつある。
■イギリスがBABYMETALの「第2の故郷」となった理由
ただ、ここで改めてちゃんと指摘しておきたいのは、BABYMETALの巻き起こしている現象は、他の日本人アーティストの海外進出とはちょっとタイプが違う、ということ。何が違うかと言うと、現地のJ-POPや日本のポップカルチャーのファンというよりも、むしろコアなメタルファンが盛り上がっているのです。そして、イギリスという国がその発火点になっている。
1万2千人を集めたロンドンのウェンブリー・アリーナの現地レポを書かれた方(行きたかった!)もこう書いている。
日本人のバンドが海外公演を行う時、現地の日本人コミュニティや日本文化好きの現地人が主な観客となることが多いと思っていたが、BABYMETALにはそれは該当しない。
会場内には日本人もいたが、ほとんどは普通の現地人だった。BABYMETALは一バンドとして着実に英国で浸透している。
BABYMETALにとって、ロンドンは特別な場所なのです。特にここ最近では、グループの物語の新しい扉を開く場所は、いつもロンドンになっている。今回のアルバムの1曲目「Road of Resistance」も、O2ブリクストン・アカデミー・ロンドンのワンマンライブで初披露された曲だった。
当然、現地のファンもそれを知っている。ウェンブリー・アリーナの熱狂はその成果だと思う。
僕が担当したビルボード・ジャパンのインタビューでも「イギリスは第2の故郷」と語っていた。
SU-METAL:私たちは今、イギリスを“第2の故郷”と呼んでいるんですけれど。それくらい大きな存在だと思っています。イギリスのファンの方はすごくあたたかいんですよ。2年前の【Sonisphere Festival UK】というフェスも私たちにとってすごく大きなターニングポイントになったし、その後にも、きっかけを与えてくれる場所になっているんですよね。イギリスのファンの方が私たちの心を強くしてくれる気がします。
SU−METALが言うとおり、2014年の「ソニスフィア・フェスティバル」出演は大きなきっかけになった。メタリカがヘッドライナーをつとめる世界最大級のメタルフェスで6万人を前に圧倒的なパフォーマンスを見せたことで、状況が大きく変わった。
プロデューサーのKOBAMETAL氏は「音楽主義」掲載のインタビューで、当時のことをこんな風に振り返っている。
いやー、本当に僕も人生初ぐらいの衝撃で。最初はセカンドステージで別の日だったんですけど、問い合わせがすごく来たらしくて。それでメインステージのほうに変更してくれたんですけど、僕らも最初、これ大丈夫ですかね?っていってて。(中略)セッティングしてるときは全然人がいなかったんですけど、1曲目が始まったらぞろぞろ集まってきて、気がついたら全部埋まってて。びっくりしましたね。主催の人もいってましたけど、BABYMETALは実質2番目で、昼の12時からこんなに埋まってるのは初めてだって。その年のソニスフィアのベストアクトのトップ10にも選ばれて。いや、あれは本当びっくりでした。
http://www.nexus-web.net/ongakusyugi/pdf/068.pdf
そして翌年。BABYMETALは40年以上の歴史がある都市型ロックフェス「レディング&リーズ・フェスティバル」に出演する。『別冊カドカワ Direct』のインタビューでSU−METALがその体験を「久しぶりのアウェイなフェス」と語っていたのが印象的だった。
「フェスって、やっぱり最初はアウェイなんですよ。去年にレディング&リーズ・フェスティバルに出させていただいたときに、それをすごく感じたんです。他のフェスはそうでもなかったんですけれど、レディング&リーズ(・フェスティバル)は、久しぶりのアウェイなフェスでした。しかもトップバッターだったので、最初はあんまりお客さんもいないし、そのお客さんも本当にポカーンとした顔をしていて。みんなが『この子たち、誰だろう?』って思ってるような状態からライヴが始まったんです。でも、曲を披露していくうちに、だんだんその様子が変わっていった。特に海外のお客さんは反応がすごくリアルなので、その場のリアルタイムで『あ、この人は私たちのことをおもしろいと思ってくれたんだな』っていうことが表情でわかるんですよ。そのときのステージは30分くらいだったので5曲くらいしかできなかったんですけれど、でもそのなかで、ちゃんと会場のお客さんにBABYMETALの魅力を伝えることができたのを実感しました。私たちのことを初めて観るような人にもちゃんと影響を与えられる存在なんだって、フェスに出るたびに実感します」
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でもこれって、逆に言うと、もはや2015年時点で、ほとんどのフェスでBABYMETALはすでに“ホーム”の状況を作り上げていたと言えるわけで。SU−METALが語っているとおりに、たった30分のステージで、未見の人をがっつりとファンに変えていった成果を積み重ねてきたわけだ。
そうやってフェスの現場で見せたパフォーマンスの説得力で、その地のメタルファンをノックアウトしてきた。それが、BABYMETALにとってのイギリスが「第2の故郷」になった理由だと思う。
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