根強い人気で、公開から約1カ月がたった今も勢いが衰えない映画「シン・ゴジラ」。国防をテーマに据え、政治決定の内幕がメーンのストーリーや、自衛隊の描写が高い評価を得ている。その中にあって、ひときわ存在感を放っている官庁が経済産業省だ。ゴジラ対策のカギとなる日本の製造業の協力をとりまとめる役柄を与えられた。思わぬ活躍に、庁内でも話題沸騰中。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を経た現在、現役官僚たちはゴジラという国家の危機に何を考え、復興シナリオをどう描くのか。
映画に肩書付きで登場する省関係者は、資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課長と製造産業局長の2人。2人は、組織の枠を超えて、優秀だが出世に興味のない“はみ出し者”を集めたという巨大不明生物特設災害対策本部、通称「巨災対」の一員として呼び出される。
国の原子力政策を取り仕切る原子力政策課長。「特殊な組織だったので登場したが、放射能とゴジラの関係が明確でない段階では職掌的にはお声はかからないだろう」といわれている。一方の製造産業局長は民間企業からの協力を得るため、携帯電話を片手に平身低頭する姿が「熱い!」ともっぱらの評判だ。ゴジラの鎮圧には、自衛隊や米軍といった軍事力だけでなく、民間企業の力が欠かせなかった。ものづくりの技術こそ、防衛力の要であるという日本を象徴する場面での活躍で注目を浴びている。
製造産業局には金属課や素材産業課、自動車課、ロボット政策室などの組織があり、まさに日本のものづくりを所管する。その局を統括する局長は、実は経産省の最高幹部の1人。決してはみ出し者ではなく、むしろ権力の中枢の存在だ。どちらにしても、有事の際にリーダーシップを発揮する“熱い”立場ではある。
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