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時代錯誤過ぎない?高畑事件におけるおじさんたちの下ネタ失言 - 網尾歩 (ライター)

 高畑裕太容疑者の事件における、おじさんたちの失言。「男はみんな強姦するもの」とでも言いたげなこういった失言には、男性こそ怒るべきではないのか。

性犯罪を茶化すおじさんたち

 8月後半に世間をにぎわせた、高畑裕太容疑者の強姦致傷事件。母である女優の会見も賛否を呼んだが、この件で見事な「セクハラ脳」を披露したのが梅沢富美男氏だ。8月25日に放送された「バラいろダンディ」(TOKYO MX)の中で、共演した女性タレントに向かって「お前が一番悪いのかなと思ったよ」、さらに「高畑にヤラせてもよかったんじゃないの」と発言した。

 これはもともと、高畑容疑者がこの女性タレントに好意を持っていたとテレビで明かしていたことを受けての発言。女性タレントは、テレビでの「公開告白」を「友達としてもない」などと「お断り」していた。

 事件とは関係のない女性タレントに「ヤラせなかったお前が一番悪い」と言い募るこの発言。冗談だとしてもたちが悪く、ネット上では「最低なコメント」「仲がいいからできた発言とはいえ降板すべき」「やっぱり、この年代の人たちにはついていけないところがあるわ……。梅沢富美男やばすぎ」など、批判が相次いでいる。

 また、俳優の津川雅彦氏も、27日に行われた映画の初日舞台あいさつで、「この作品は男のセックスに対する欲望を…今はやりですけど」「衝動が抑えられなくなる。今問題になっている22歳の…」と、事件を茶化すような発言をしたことが「高畑裕太容疑者をネタに 暴走トーク」と報じられている。一緒に登壇した笑福亭鶴瓶氏から「いらんこと言うな!」と制止されたから良かったようなものの、被害者がいる事件だとわかっていないかのような暴走ぶりだ。

 そして、ツイッター上のコメントが顰蹙を買ったのが作家の中場利一氏。25日に「なんやかんや言うてもまだ22歳やないかい。相手は40のオバハンや。考えてみいな、若い男の部屋に歯ブラシ一本持って行くやなんて、全身に蜂蜜ぬって熊の檻のドアを開けるようなもんやんけ。示談にしたれよ。その女、なんぼのもんやねん!てマーちゃん台風も呆れてるわ。もう堪忍したってくれよ。」とつぶやいた。

「男の性欲は止められない」という時代遅れの言い訳

 このつぶやきには、「何言ってんの?この人…」「酷すぎてびっくりした」「セカンドレイプの犯人」など批判が殺到。中場氏は、しばらく批判に反論していたが、28日になって突然「一身上のイライラでTwitterやめます。今から二度と読みません。あほくさ。楽しくない」などとツイート。ツイッターをやめる宣言をしている。

 3人の失言に共通するのは、性犯罪をネタにして笑いを取ろうとする態度だ。また、梅沢氏と中場氏の発言からは特に、「男は性欲が強く、その性欲は止められないもの」という意識が読み取れる。「女は男の性欲の対象となるもの」という前提があり、だから梅沢氏は女性タレントに「ヤラせておけば事件が起きなかった」かのような発言をし、中場氏は被害者である女性従業員が迂闊だったかのような発言をしている。

 しかし、男性であれば誰でも性欲を抑えられないものなのだろうか。見境なく女性を襲うのだろうか。もしそうだとすれば、男性は男性であるというだけで全員が強姦魔になってしまう。いくら性欲が強くても、人を強姦していい理由にはならない。強姦事件が起こったときに「男は性欲が強いから女が気を付けろ」というのは、自分の責任を放棄した幼稚すぎる論理だ。

 こういった失言は、とかく「女性が怒る発言」「女性の敵」などと表現されるが、男女関係なく理性ある人間の敵である。まるで男は性欲を理性で止めることができなくて当然であるかのような、こんな野蛮な発言には、理性のある男性も怒るべきではないのだろうか。

 また、中場氏がユーザーからも指摘されているように、責任が被害者にもあるかのような発言は「二次被害(セカンドレイプ)」にあたる。性犯罪・性暴力につきまとう誤解や偏見についての知識がないからこそ、こんな顰蹙を買う発言をしてしまうのだろう。何ら知性も面白さも感じさせない、ただのおやじの下ネタの延長で性犯罪を矮小化している。

 中場氏のコメントを「いろんな意見があっていいのに」と擁護する人もいるようだが、それは殺人事件が起こったときに「殺されるほうも悪い」という意見を擁護するのと同じだ。テレビの前でおっさんが尻をかきながらのたまうなら誰も聞いていないが、ツイッターのコメントは全世界に向けて発信されている。批判があって当然だ。

 「性」についての話題を、下卑た笑いにしようとする風潮は世の中にある。幼稚だとは思うが、必ずしもそれが悪いわけではない。しかし、「性」と「性暴力」は別のものであり、「性暴力」には加害者と被害者が存在する。その差異がわからない人が世の中には案外多くいて、しかもいまだに権力を握っていたりするのだ。断固、抗議し続けるべきである。

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