いやぁシンゴジ面白いですよね。まだ1回しか見てないですが、いいですよね。
ということでブログタイトルの「防災」とはあまり関係がないのですが、2回目を見る前に感じたことを徒然。
(勢いに任せた乱文ですので、あとで細かい手直しはするかもしれません。あともちろんネタバレあります。)

●「巨大不明生物」が明らかになる前の描写について
冒頭、「巨大不明生物」の存在が明らかになる前に、 「原因は海底火山だ!」という風にずんずん政府の中で進んでいく描写がありました。

まず、自然科学的な話で行くと、個人的な感覚(おそらく地球科学を齧った方は近い感覚があるのではと、そう思いたいところです)としては、東京湾アクアライン付近での「海底火山」説というのは、「巨大生物」説と同程度ぐらいには荒唐無稽だというものである、ましてやトンネルは上から壊れた(ことが情報共有もされていた)ってことで、なおさらありえないだろう、というところを思いました。
(だから、最初のところでは「これはちょっと脚本の理解が足らないのでは…」と思ってしまったりはしました。)

ただ、思いなおせば、政府の中での気象庁(というかその背景の地球科学)の発言力の小ささ、さらに「原因をいち早く"特定"して発表してしまいたい」という圧力(と言えると思います)の中で、肌感覚が十二分に伝わらなかったのかな、と考え、合点が行っています。
現象の「ありえなさ」で行くと、東日本大震災(おおよそ1000年に1回)、さらに言うといわゆる"破局噴火"(おおよそ10000年に1回)をさらに上回るものだけども、その肌感覚が「想定外(→そこそこの確率で起こりえる現象だが、考慮の外にあったものとしての意味としての)」という一言で括られてしまい、「よりありえそう」な海底火山説に傾いていったと考えれば、まぁ妥当かなというところです。

ただ、「海底火山の可能性」との会見がTVで流れているときには、(気象庁もそうですが、地球科学界の)関係各位、「ありえへんやろ!」と総ツッコミを入れているはずで、その姿を想像しながら、あの場面を見たりはしていました。

願わくば、もう少しでもいいので強く、作中の気象庁の次長さんには「海底火山説はあり得ない!」と言ってほしかったところでした。
発声可能の上映に入り込む機会があれば声が枯れるまで「きしょうちょうがんばえー!ちきゅうかがくがんばえー!」と叫んで20分で離脱したい、できればその前に「変なところで叫ぶな!」とつまみ出されたい所存ではあります。

●海水温データから蒲田くんならびに鎌倉くんの潜伏場所が察知できなかったのかという疑問
海水温については、マイクロ波放射計などで海水温のモニタリングはしていて(参考: http://www.eorc.jaxa.jp/distribution/monitoring/ )、熱源があればその波及が見えてもおかしくないのではないのかなと思います。
特に「どこかに潜伏している」鎌倉くんの"再発見"以前のところについては、船を用いた近海の観測だってできたのではないのかと。これについては気象庁が海洋観測の船を2つ持っており( http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/vessel_obs/description/vessels.html )、また船と言えば海上保安庁なりいろいろ観測可能なものがいらっしゃるだろう、というところ、あと「ちきゅう」なんかも動員できるかもしれませんで、そうした測定をもって監視していなかったのか、というところについては疑問が生まれるところです。
(まぁ描写がないだけで、きっちりやってたのかもしれませんが。その対策の上をゴジラが行ったということなのかもしれません。2例共に海底に深く沈んでいたのかもしれませんし。)

●ヤシオリ作戦時の天気予報について
「あの作戦って、雨降ってたら作戦の進行に影響が出てたはずだよなぁ」とぼんやり思っていて。
おそらく気象庁には作戦の詳細(とまぁ日程)が知らされてはいないものの、「ゴジラを無力化する対策を決行する予定なので、天気予報は精緻に行ってほしい」という依頼が入っているのかなぁとぼんやり。
なので、作戦の1週間ほど前から、都心の直接観測データはほぼなくなっている(特に北の丸公園の地上観測装置はダメでしょう)ところを他の直接観測データやリモートセンシング(レーダー・気象衛星)データで補完して、清瀬で難を逃れている計算機にぶち込んだ計算結果を必死こいて、災害時気象支援資料( http://www.data.jma.go.jp/yoho/data/jishin/sien_kumamoto.html こういうのです。 )にと加工する、気象庁予報現業(大手町は使えないのでたぶん大阪管区気象台で代行)の涙ぐましい努力の姿があったに相違なく。
そう思うとあの場面が8%ぐらい増しで感動できること請け合いですよ。
「あぁ、晴れて良かったね…予報通り(じゃないと雨対策の描写があるはずなので)雨が降らなくてよかったね…」と画面には一切出てこない予報現業の姿を見てあげてやってくださいよというところです。