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フィーライン・アイズ

コミュ障だけど野心はあります

銀河英雄伝説・第16話「新たなる潮流」~敗戦によって政権が変わる同盟とフリードリヒ4世の突然死~

銀河英雄伝説・本編


銀河英雄伝説 第16話

 

オープニングナレーション

 

アムリッツァ星域で帝国軍と相対した同盟軍は、

キルヒアイス艦隊に背後を突かれ、壊滅の危機にあった。

 

第16話のあらすじ

 

アムリッツァ会戦の大勢は決し、

帝国軍の勝利は確実かに思えたが、

ラインハルト配下のビッテンフェルトが作戦を失敗する。

 

同盟軍の殿(しんがり)を務めるヤンは、

そこを見事に突いて退却することに成功した。

 

完全勝利できなかったラインハルトは怒り、

ビッテンフェルトに謹慎を言い渡す。

 

そんな彼に対してキルヒアイスは、

ラインハルトが自分自身に対して苛立っていることを指摘した。

 

その怒りをビッテンフェルトにぶつけているというのだ。

 

同盟だけでなく帝国内に敵を抱えるラインハルトにとって、

陣営内に不協和音があることは大きなマイナスだった。

 

ラインハルトはキルヒアイスの諫言を受け入れた。

 

一方、自由惑星同盟では敗戦の責任をとって、

評議会の代議員が総辞職を願い出た。

 

しかし、開戦に反対したレベロとルイは留任となり、

さらに国防委員長だったトリューニヒトが政権を握る。

 

統合本部長のシトレは退役し、

アムリッツァで補給を担当していたキャゼルヌも左遷された。

 

だが、ヤンは自分がイゼルローンの司令官になった暁には、

彼を迎え入れようと考えていた。

 

そんななか。

 

ゴールデンバウム王朝の皇帝・フリードリヒ4世が、

突然、心臓発作を起こして崩御した。

 

次の皇帝として3人の候補者が上がったが、

即位したのはわずか5歳のエルウィン・ヨーゼフ2世だった。

 

この幼君の背後には帝国宰相のリヒテンラーデがいるのだが、

ラインハルトは彼と手を組むことに利があると思った。

 

フェザーンルビンスキーは2つの国の動きを注視していたが、

地球教の大司教と密かに会見をする。

 

それぞれの思惑が絡んで歴史は大きく動き始めていた-。

 

第16話の台詞(1)ヤン決死の退却戦

 

ムライ「味方は総崩れです」

パトリチェフ「どうなさいます?ヤン提督」

ヤン「そうだな・・・逃げるにはまだ早いだろう」

 

ラインハルト「十万隻の追撃戦は初めて見るな」

オーベルシュタイン「旗艦を前進させますか?」

ラインハルト「いや、やめておく。この段階で私がしゃしゃり出たら、

部下の武勲を横取りするのかと言われるからな」

 

ヤン「ビュコック提督。私の艦隊が殿(しんがり)を努めます。

その隙に各艦隊の命令系統を再編成しつつ、

イゼルローン要塞への撤退をお願いします」

ビュコック「じゃあ、貴官たちはどうする」

ヤン「ご心配なく。あいにく自滅や玉砕は、

私の趣味ではありませんから」

ビュコック「うむ、わかった。ヤン、死ぬなよ」

 

フレデリカ「閣下・・・」

ヤン「大丈夫だ。タイムングさえ間違わなければ充分逃げ切れる。

全艦、後退しつつ艦隊を密集隊形に。敵の先頭に砲火を集中するんだ」

 

ラインハルト「やるな・・・実に良いポイントに砲撃を集中してくる」

オーベルシュタイン「あれは、第13艦隊のようです」

ラインハルト「またしても、ヤン・ウェンリーか!

今度ばかりは思うようにはさせぬ。両翼を伸ばして包囲陣を敷け」

オーベルシュタイン「はっ」

 

同盟軍将校「提督」

ヤン「もう少し。もう少し踏みとどまれば、

味方はイゼルローン回廊に逃げ込める」

 

オーベルシュタイン「閣下。やはりビッテンフェルト艦隊が薄すぎます。

キルヒアイス中将でも誰でもよろしいが、

ここは援護させたほうがよろしいでしょう」

ラインハルト「そうしよう。それにしてもビッテンフェルトめ、

奴ひとりの失敗でいつまでも祟られるわ」

 

同盟軍将校「提督!」

 

ヤン「ここまでだ。右翼前方、敵艦隊の最も薄い部分に集中砲火。

一点突破を図る。急げ!」

 

ビッテンフェルト「ひるむな!反撃だ!わが艦隊に退却の文字はない!」

帝国軍副官「閣下、閣下、もはや手遅れです。

ここはお退きください。再戦の機会を、再戦の機会をお待ちください!」

ビッテンフェルト「・・・おのれ!」

 

ミッターマイヤー「なかなかどうして。たいした奴がいるな。敵にも」

ロイエンタール「ああ、今度会う時が楽しみだな」

 

第16話の台詞(2)二つの潮流とは

 

ヤン「中尉」

フレデリカ「はい?」

 

ヤン「私は少しだけ歴史を学んだ。それで知ったんだが、

人類の社会には思想の潮流がふたつあるんだ。

人の命以上の価値があるという説と、命に勝るものはないという説とだ。

人は戦いを始める時、前者を口実にし、

やめる時には後者を理由にする。それを何百年、何千年と続けてきた」

 

フレデリカ「閣下・・・」

 

ヤン「いや、人類全体なんてどうでもいい。

私は全体、流した血の量に値するだけの何かをやれるんだろうか」

 

(中略)

 

ヤン(モノローグ)「ローエングラム伯はもしかして、

第二のルドルフになりたいんだろうか・・・」

 

第16話の台詞(3)ラインハルトを諌めるキルヒアイス

 

キルヒアイス「閣下、お考え直しください」

 

ラインハルト「何故だ?!

ビッテンフェルトは自己の責務を全うしなかったのだぞ。

罰せられて当然ではないか」

 

キルヒアイス「閣下、怒っておられるのですか」

ラインハルト「怒って悪いか!」

 

キルヒアイス「私がお聞きしているのは、

何に対して怒っておられるのかです。閣下」

ラインハルト「閣下はよせ。何が言いたいのだ、キルヒアイス

 

キルヒアイス「では、ラインハルト様。あなたが怒っておらるのは、

ビッテンフェルトの失敗に対してですか?」

ラインハルト「知れたこと」

 

キルヒアイス「私にはそうは思えません。

ラインハルト様のお怒りは、

本当はあなた自身に向けられているものです」

 

ラインハルト「・・・」

キルヒアイス「ヤン提督に名をなさしめた自分自身」

ラインハルト「なっ・・・!」

 

キルヒアイス「ヤン提督に名をなさしめたことが、そんなに悔しいんですか?」

 

ラインハルト「悔しいさ。決まっている。

ティアマト、アスターテ。そしてこのアムリッツァ。

何故いつも奴は・・・

おれが完全に勝とうとしている時に現れて邪魔をするのか!」

キルヒアイス「彼には彼の不満がありましょう。

何故自分はことの最初からローエングラム伯と対局できないのかと。

ラインハルト様は前面にヤン提督、

後背に門閥貴族とふたつの強敵を抱えておいでです。

この上、部下の中にまで敵をお作りなさいますな」

 

(中略)

 

ラインハルト「キルヒアイス、おれは宇宙を手に入れることができると思うか?」

キルヒアイス「ラインハルト様以外の何者にそれが叶いましょう」

 

妙香の感想

 

同盟はアムリッツァで2000万の兵力を失ってしまいました。

この痛手はのちのち、大きく尾を引くことになるんですよ。

 

しかも、食わせ者のトリューニヒトが政権を握ったので、

ヤンやその仲間たちはこれから苦労しそうです。

 

でも、イゼルローンという居場所ができたのは良かったと思います。

 

驚いたのはフリードリヒ4世の死去ですね。

 

老人だったのでいつ亡くなってもおかしくはなかったんですが、

ラインハルトにとっては仇敵のような存在ですから、

フリードリヒ4世の手から帝位を奪いたかったでしょう。

 

覇道のきっかけは最愛の姉が後宮に連れ去られたことですが、

彼の言葉の端々から野心を感じることはできますね。

 

しかし、腹黒い野心家ではなく、

盟友であるキルヒアイスの諫言に耳を傾けて、

ビッテンフェルトの罪を不問にするなど、

度量の広さも持ち合わせています。

 

ただ、オーベルシュタインは、

キルヒアイスとの友情を理解していないので、

陣営内が完全に一枚岩になるかは微妙です。

 

フェザーンには何か裏があると思っていましたが、

「地球教」という怪しい宗教団体とつながっていたんですね。

 

武力を持たない彼らですが、

どんなあざとい謀略をしかけるかわからないので怖いです。

 

帝国の門閥貴族たちもラインハルト憎しで暗躍しはじめました。

 

登場人物もどんどん増えて複雑になりますが、

これからもっと面白くなりますよ。

 

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