結局、大風呂敷を広げただけだったということか。 中央省庁の全面的な地…
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結局、大風呂敷を広げただけだったということか。
中央省庁の全面的な地方移転は京都への文化庁のみ。政府が先週、こんな方針を決めた。
安倍首相が2年前に掲げた「地方創生」の目玉施策は掛け声倒れになった。
具体的に組織名を挙げて移転を求めた自治体側は、政府に振り回されたかたちだ。
出発点は「東京一極集中の是正」だ。目標として、2020年までの5年間に「地方に若者30万人の雇用創出」を掲げた。そのために企業の地方拠点の拡充や、オフィスの地方移転に対する優遇税制を設けた。
あわせて、地方創生相だった石破茂氏が「隗(かい)より始めよ」と省庁の移転をうながした。安倍首相は「地方創生の重要な施策だ」と訴えた。
自治体に希望を募ると、42道府県が省庁や独立行政法人の関連組織など計69機関の移転を求めた。大阪府が中小企業庁や特許庁、北海道や兵庫県は観光庁などを要望した。
さながら誘致合戦のような盛り上がりを見せたが、各省庁は「業務に差し障る」などと移転を拒んだ。
国の機関が東京を離れることにはプラスもマイナスもある。官僚の反論は想定されていたのに、旗を振った石破氏も首相も説得しようとはしなかった。
この結果を受けて、二つのことを指摘する。
まずは「東京一極集中」という、国の構造問題に省庁移転で対応するというなら、政権を担う政治家が原案をつくるべきだった。組織と人員、機能を分散させる利点や効果を示し、政権の強い政治力で実現を図れば、これほどの腰砕けにはならなかったかもしれない。
自治体からの「手あげ方式」という、補助金申請を受けつけるようなやり方が、そもそも間違いだった。
もうひとつは、いつまで同じようなことを繰り返しているのか、という思いだ。
「1省庁につき1機関の地方分散」を竹下登首相が唱えたのは約30年前だ。1990年代には衆参両院が「国会等の移転に関する決議」をして首都機能の移転を論じた。一極集中をただすために、国の機能分散をめざすのは目新しい話ではない。
残念なのは、今回の政権の対応からは、省庁のあり方をどう見直すかの理念も、実現への強い熱意も感じられないことだ。
むしろ東日本大震災を経験して、首都直下型地震への備えを急ぐべきいまこそ、国の機能分散は喫緊の課題のはずだ。
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