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パラリンピック 支援を拡大する契機に

 リオデジャネイロで障害者スポーツの祭典、パラリンピックが日本時間の8日開幕する。22競技528種目が実施され、約160カ国・地域から過去最多のロンドン大会を上回る約4400人が参加する。

     逆境を乗り越えて挑戦する姿は五輪に劣らず見る人の心を揺さぶる。それだけにドーピング(禁止薬物使用)の力を借りるのは論外だ。

     ロンドン大会で金メダル36個を獲得したロシア選手団について国際パラリンピック委員会(IPC)は国家主導のドーピング違反を理由に個人資格を含め参加を認めなかった。ロシアはスポーツ仲裁裁判所などに訴えたが、却下された。パラリンピックの価値は守られたと言える。

     障害者スポーツの世界でもスポンサーの支援を受けて各国を転戦するプロ選手が増えたこともあり、競技レベルは年々、上がっている。

     その意味で一番の注目は陸上の男子走り幅跳びだろう。右足が義足のマルクス・レーム選手(ドイツ)は昨年、障害者の世界選手権で8メートル40の世界記録をマークした。これはリオ五輪の優勝記録8メートル38を上回る。

     レーム選手はリオ五輪出場を目指した。だが、国際陸上競技連盟からカーボン製の義足が競技するうえで有利に働いていないことを科学的に証明するよう求められ、最終的に断念した。パラリンピック本番では歴史に残るジャンプを期待したい。

     義足の性能や公平性を巡る議論は決着していない。しかし、多くの日本代表選手の義足を手がけてきた義肢装具士の臼井二美男さんによれば、義足の板バネをたわませるための筋力は過酷なトレーニングがなければ得られないものだという。

     義足をはじめ、失われた機能を代替する用具や道具は障害者スポーツに欠かせないが、オーダーメードとなる最先端のものは個人が手軽に購入できる値段ではない。経済的な理由から手にすることができない国の選手たちもいる。これがパラリンピックに選手を派遣できる国が五輪より約40も少ない一因だ。

     今大会、選手約130人が参加する日本は恵まれていると言えるだろう。それでも笹川スポーツ財団などによると、経済的な負担が重く、スポーツをしたくてもできない障害者は少なくない現実がある。スポーツ実施率は健常者の半分以下。日本代表選手も約2割が障害を理由に施設の利用を断られた経験をしている。

     NHKは今回初めて、大会期間中毎日、競技の生中継を行う予定だ。普段目にすることのない競技を知る機会が増えるだろう。4年後は東京で開催される。障害者がスポーツと出会い、続けるための支援を広げる契機としたい。

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