[上海/香港 6日 ロイター] - 中国政府は大手国有企業のデフォルト(債務不履行)を容認するかどうかについて市場に相反するメッセージを発信しており、こうした一貫性のなさに債券市場が振り回される結果となっている。
中国の債券市場は、政府はデフォルトを容認せず、発行体は事実上政府の保証を受けているという前提で回ってきた。
政府は2014年以降、こうした認識を修正しようと慎重な取り組みを進めており、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)や債務の証券化といった市場寄りの仕組みの導入を計画している。
しかし強硬な政策を一歩進めるたびに、国有企業のデフォルトが既に落ち込んでいる投資を損なったり金融の安定を脅かしたりするのではないかとの不安から取り組みを後退させているようにみえる。
中央銀行と規制当局は今年4月、主に石炭や鉄鋼など長期にわたり赤字が続いている産業から資金を引き揚げ、資金供給を圧縮するよう金融機関に促した。このため投資家がデフォルトのリスクを織り込みに動き、発表から10日間で短期債の利回りは30ベーシスポイント(bp)以上も上昇した。
しかし6月下旬になると債券市場は再び上昇し始めた。利回りを求める投資家が買いを入れたためだが、国有企業のデフォルト容認について政府の姿勢に変化の兆しが見えたことも一因だ。
政府の変節ぶりは8月に入ると一層明確になった。毎日経済新聞は8月初旬、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)は銀行に対し、企業への融資を安易に打ち切ることはせずに、可能ならば期限を延長したり再融資を行うよう要請した。
この直後に陝西省の銀行監督当局は省内の大手石炭企業7社の短期債務借り換えを認めた。さらに8月下旬には財新伝媒が、300億ドル近い債務を抱える渤海鋼鉄集団が天津市から低金利の資金供給を受けられる見通しだと報じた。
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