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総合研究所

日本国憲法の原理、原則を大事にしたい。日中戦争開始から80年以上が経過し、戦争を知る世代がいなくなってきました。そうした状況に便乗し、再び戦争をしようとする安倍政権に断固反対します。 (連絡先) ivishfk31(アットマーク)gmail.com

伊藤和子弁護士「AV強要被害問題は今、どうなっているのか」の問題点

伊藤和子弁護士

【1】今回は伊藤和子弁護士の次の記事の問題点を検討する。

AV強要被害問題は今、どうなっているのか。(伊藤和子) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

【2】 伊藤和子弁護士は、AVへの出演強要の有無を国の監督官庁が管理すべき、と主張しているが、もしこれが実現すれば、日本国がAV製作に積極的に参加することになり、日本国がAV製作国家になってしまう可能性が高い。

 中里見博氏の論文(http://ir.lib.fukushima-u.ac.jp/dspace/bitstream/10270/3621/1/2-419.pdf)100-101頁では「政府が風俗営業を許可制にしながら、それよりも人権侵害性が高いと考えられる性風俗営業を届出制とした」ことの理由として、「違法行為が行われ易いこの種営業に対して営業許可を与えることは、このような営業を公認したことにもなりかねないこと」が挙げられている。つまり、日本国は性風俗とは関わりたくないので許可権限の行使としてであっても関わらない、というのが日本国の基本的態度であり、法の趣旨なのである。そして日本国が許可権限の行使としてであっても性風俗に関わらないのであれば、AV産業にも、たとえそれが監督権限の行使としてであっても日本国は関わらない、ということになるであろう。ところが伊藤和子弁護士のいう、AVへの出演強要の有無を国の監督官庁が管理せよ、との主張は、この日本国の基本的態度や法の趣旨と矛盾する可能性が高い。つまり国家が、女性のAVへの出演強要の有無を監督し、管理する、ということになると、事実上、日本国がAVを製作することになってしまう危険性が高いのである。この点を伊藤弁護士はどのように考えているのであろうか。

 ちなみにこの中里見博氏の論文は伊藤弁護士の過去の記事(http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20140816-00038321/

の中で紹介されている論文である。伊藤弁護士がこの中里見博氏の論文を丁寧に読んでいれば、国家が、女性のAVへの出演強要の有無を監督し、管理することについての上記問題点を充分に把握できたはずであるにもかかわらず、伊藤弁護士は上記問題点について一切、言及していない。この点は問題である。伊藤弁護士は、法曹であるのだから、一方的な主張だけをするのではなく、社会内で対立する様々な利益を考慮し、緻密で精密な論理を展開していただきたい。伊藤弁護士は「AV強要被害問題は今、どうなっているのか」についての記事を書くことも大事であるが、その前に「伊藤和子の論理展開能力は今、どうなっているのか」について今一度、充分に検証すべきであろう。

 

【3】

上記以外にも、問題点はある。たとえば現行法上、強要罪や暴行罪、強姦罪といった処罰規定が存在しているにもかかわらず伊藤弁護士は相変わらず「被害に対応する法律が存在しない」と虚偽事実を書いているが、この問題点についてはこれまで繰り返し指摘してきたのでここでは繰り返さない。 

                   以上