【社説】THAAD配備、中国よりも韓国国内に障害  

 中国の杭州で5日に開催された韓中首脳会談は、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備について互いの主張を繰り返すだけで終わった。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領はTHAADについて「北朝鮮による核とミサイルの暴走から国を守るための措置」とした上で、北朝鮮が核とミサイルの開発をやめればTHAADも必要ないことを強調したが、中国の習近平・国家主席は「米国が韓国にTHAADを配備することに反対する」として朴大統領の説明を受け入れなかった。

 一方で習主席は韓中関係の重要性についても強調し、朴大統領も韓中両国が互いに連携すると同時に米国とも連絡を取り合うことを通じ、今の困難な状況を打開するよう提案した。朴大統領の主張は、韓国が強調する北朝鮮の核とミサイルの脅威と、中国が重視する「米中戦略バランス」についていわば同時に協議することを提案したものだ。もちろんTHAADをめぐる韓中両国の対立について解決の糸口が今すぐ見えてくることはないが、たとえ利害の衝突はあってもこれを管理可能なレベルに収束させることは可能との見方もある。THAADは韓中関係全体においてごく一部の限られた問題でしかない。両国は引き続き互いの交流の幅を広げると同時に質も高め、一つや二つの問題で揺らぐことのない確固たる関係を築き上げていかねばならない。また韓国は中国がTHAADを懸念する事情について傾聴はすべきだが、これは国民の生命と国の安全保障に直結した問題であるだけに、こちらの立場も断固としてかつ徹底して守らねばならない。

 ちなみに今回のTHAAD配備をめぐる混乱で明らかになったことは、中国との関係よりも国内における対立の方がむしろ深刻なことだった。それは国内の一部勢力が「THAADを配備すれば韓中関係が直ちに破綻する」などと主張しているからで、またあたかもそうなることを期待するかのような言動を示す勢力も今なお少なくない。安全保障問題における目の前の危機から顔を背け、無用な対立をあおり立てる人間が数多くいるのが韓国の実情なのだ。

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