首相 南シナ海問題 仲裁裁判尊重し国際法の下で解決を

首相 南シナ海問題 仲裁裁判尊重し国際法の下で解決を
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ラオスを訪れている安倍総理大臣は、ASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会議に臨み、東シナ海や南シナ海で一方的な現状変更の試みが続いていると懸念を表明しました。そのうえで、南シナ海での中国の主張を認めなかった国際的な仲裁裁判の結果を尊重し、国際法の下で平和的な解決を目指す重要性を指摘して理解を求めました。
ラオスの首都ビエンチャンを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の7日午後2時半前から、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する10か国の首脳との日・ASEAN首脳会議に臨みました。

この中で安倍総理大臣は、中国の海洋進出の強化について「ここ数か月を見ても、東シナ海、南シナ海においては、一方的な現状変更の試みが続いており、深刻に懸念している」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は、南シナ海をめぐる国際的な仲裁裁判で中国の主張が認められなかったことについて「国連海洋法条約上、当事国を法的に拘束する。中国、フィリピンの両当事国が、この判断に従うことにより、紛争の平和的解決につながっていくことを期待する」と述べました。

また安倍総理大臣は、中国が当事国ではない日本が南シナ海の問題に関わるべきではないと主張していることを踏まえ、「南シナ海の領有権自体は当事国間の問題であるが、南シナ海は日本にとって死活的に重要なシーレーンであり、地域全体の平和と安定にとっても重要な問題だ。中国とASEANの対話を歓迎するが、対話は国際法に基づき、現場における非軍事化、自制が維持されることを前提に行われるべきだ」と述べ、国際法の下で平和的な解決を目指す重要性を指摘して理解を求めました。

さらに、安倍総理大臣は、北朝鮮の弾道ミサイルの発射について、「北朝鮮のミサイル能力が、飛躍的に向上し深刻な脅威となっている。国際社会は断固たる対応をとるべきだ」と、各国に連携を呼びかけました。

このほか、各地で頻発するテロへの対策として、ASEAN諸国をはじめとするアジア各国に対し今後3年間で450億円の支援を行うとともに、2000人規模の人材育成を行う方針を表明しました。

会議に同席した政府高官によりますと、南シナ海をめぐる問題について、複数の首脳から、国連海洋法条約などの国際法に沿った紛争の平和的な解決、緊張を高める行為の自制などを求める発言がありましたが、中国を名指しする国は無かったということです。
また、東シナ海の状況について、日本を除く1か国から、航行の自由の重要性を指摘する意見が出たということです。