避難準備情報 伝え方を見直す自治体も

避難準備情報 伝え方を見直す自治体も
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台風13号などの影響で、9日にかけて、沖縄から北日本の広い範囲では、局地的に非常に激しい雨が降るおそれがあります。先月末の台風10号では、自治体がお年寄りなど体が不自由な人に対して、避難を促す「避難準備情報」が正しく理解されなかったため、被害が広がったという指摘もあります。こうした中、自治体の中には避難の情報の出し方を見直すところが出始めています。
このうち、東京・町田市では先月22日、台風9号が接近したことを受け、川沿いの地域を中心に避難準備情報を出しました。この情報を住民に伝える手段として、市では携帯電話のエリアメールを活用しました。
その文章を見ると、「お年寄りやお体の不自由な方などは直ちに避難してください」と書かれています。この文章、以前は「避難の準備を開始して下さい」という、あいまいなものでした。
しかし、去年の関東・東北豪雨を教訓に見直しの検討を開始。避難準備情報が作られるきっかけとなった平成16年の新潟・福島豪雨で、高齢の住民が逃げ遅れて犠牲になったことから文章を見直したといいます。町田市防災安全課の三沢亘係長は、「避難に時間がかかるお年寄りの命を守りたいという一心から今回の変更を行った」と話していました。

自治体の新たな対応が情報を受け取る側の住民の意識に変化を与えたという声もあります。
市内の通所介護施設で施設長を務める吉田定善さんです。先月22日にこの市からのメールを受け取った吉田さん。文章を読んで「これまで避難準備情報を受けても、正直何だと思っていたが、今回のはちょっと違うと思った」と、これまでにない危機感を感じたといいます。
その直後にヘルパーの女性から近くの川が増水しているため、訪問先のお年寄りの男性を2階に避難させたいという連絡を受けます。
吉田さんはすぐに現場に駆けつけ、地元の消防団に協力を求めました。その後、川の水位が下がったため実際の避難には至りませんでしたが、吉田さんは「自治体が『直ちに避難を』と呼びかけてくれれば、情報を受ける住民にとっても、命を守るための早めの行動につながると思う」と話していました。

避難情報の発表 政府も自治体に徹底要請

台風13号などに関連して、菅官房長官は午後の記者会見で、「国民の皆さんには、最新の気象情報に注意し、低い土地の浸水、土砂災害、河川の氾濫などへの警戒をしてほしい。また、市町村の避難情報などに十分注意し、安全確保最優先に早め早めに対応してほしい」と述べました。
さらに、菅官房長官は、自治体の避難情報の発表について、「先般の台風の反省に立ち、事前に、地方自治体に徹底するよう強く要請している」と述べました。