安倍首相訪ロ プーチン大統領訪日に道筋つけられるか

安倍首相訪ロ プーチン大統領訪日に道筋つけられるか
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安倍総理大臣は、2日、ロシア極東のウラジオストクを訪れ、プーチン大統領との日ロ首脳会談に臨むことにしています。会談で、安倍総理大臣は、北方領土問題の前進を目指し突っ込んだ意見交換を行いたい考えで、ロシア側が12月としているプーチン大統領の日本訪問に道筋をつけることができるかどうかが焦点です。
安倍総理大臣は、2日午後、政府専用機で羽田空港を出発し、ロシア極東のウラジオストクを訪れ、夕方からプーチン大統領との日ロ首脳会談に臨むことにしています。今回の首脳会談は、ことし5月にロシア南部のソチで行われた会談に続くもので、安倍総理大臣は、会談に先立ち、1日、新たに「ロシア経済分野協力担当大臣」を設置し、会談に同席する世耕経済産業大臣に兼務させることを決めました。

会談で、安倍総理大臣は、ソチで日本側が提案した極東でのエネルギー開発や産業振興など8項目の協力プランの具体化や、北方領土問題を含む平和条約交渉の進め方などをめぐって突っ込んだ意見交換を行いたい考えです。

また安倍総理大臣は、3日には、プーチン大統領、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領とともにロシアやアジア太平洋地域の国や企業の関係者が出席して開催されている「東方経済フォーラム」でスピーチし、日ロの経済関係の強化や、毎年、ウラジオストクで首脳会談を行うことを提案する見通しです。

安倍総理大臣としては、今回の首脳会談などで、ロシアとの経済関係の強化に取り組む姿勢を明確にし、プーチン大統領との信頼関係を一層強化することを通じて、北方領土問題の前進につなげたい考えで、ロシア側が12月としているプーチン大統領の日本訪問に道筋をつけることができるかがどうかが焦点です。

東方経済フォーラム開催へ

ロシアのプーチン大統領は、安倍総理大臣や日本企業の代表などを招いて2日から極東のウラジオストクで東方経済フォーラムを開き、ウクライナ問題をめぐる欧米からの制裁で経済状況が厳しさを増す中、極東の開発に向けて一層の投資を呼び込みたい考えです。

東方経済フォーラムは、ロシアのプーチン大統領が極東のウラジオストクで去年に続いて開くもので、安倍総理大臣や日本企業の代表のほか、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領などアジアを中心に30か国以上からおよそ2500人が出席する予定です。初日の2日は、日本とロシアの政府関係者や大手企業の代表などが出席する会議が開かれ、経済協力の強化について話し合うほか、3日の全体会合では、プーチン大統領がスピーチを行う予定で、極東地域への投資を呼びかけるものとみられます。

ロシアは、ウクライナ問題をめぐる欧米からの制裁もあって経済状況が厳しさを増しています。このためプーチン大統領としては、ことし5月の日ロ首脳会談で日本側から提案された8項目の協力プランを具体化させるきっかけとしても今回のフォーラムを活用し、立ち遅れた極東の開発に向けて一層の投資を呼び込みたい考えです。

会談で経済関係の強化に弾みがつくことに期待

2日行われる日ロ首脳会談を前にロシアのウリュカエフ経済発展相がNHKのインタビューに応じ、両国の経済協力が、北方領土問題を含む平和条約交渉を後押しするという考えを示し、今回の首脳会談で、経済関係の強化に弾みがつくことに期待を示しました。

ロシア極東のウラジオストクで2日行われる日ロ首脳会談を前にウリュカエフ経済発展相がモスクワでNHKのインタビューに応じました。この中で、ウリュカエフ経済発展相は、みずからも同席したことし5月の日ロ首脳会談を振り返り、「歴史的な突破口を開くチャンスと捉えた。平和条約交渉と経済協力が切り離された」と述べ、日本側が北方領土問題を含む平和条約交渉を進展させることを経済協力を進める条件にしなくなったという認識を示しました。

そのうえで「信頼関係や相互利益が生まれれば、合意に達するための環境が整備され、平和条約の締結への道が開かれるだろう」と述べ、両国の経済協力が平和条約交渉を後押しするという考えを示し、今回の首脳会談で、経済関係の強化に弾みがつくことに期待を示しました。

また、ウリュカエフ経済発展相は、先の首脳会談で日本側がロシア経済の発展などのため8項目の協力プランを提示したのを受けて、49件に上る具体的な投資プロジェクトを日本側に提案したことを明らかにし、日本側とともにプロジェクトを絞り込み、協力プランの実現を急ぎたい考えを示しました。