トランプ氏ら非難 ISと似通った宣伝戦術
【ローマ福島良典】ゼイド国連人権高等弁務官が5日、排他的な欧州の極右指導者や米共和党大統領候補の実業家ドナルド・トランプ氏(70)について、過激派組織「イスラム国」(IS)と似通った宣伝戦術を使って「人種・宗教上の偏見を拡散している」などと非難した。
ヨルダン人のゼイド氏はイスラム教徒。オランダ・ハーグで開かれた安全保障関係の会議で演説し、イスラム移民排斥を掲げるオランダの極右政党・自由党のヘルト・ウィルダース党首(53)が「恐怖の押し売り」をしていると批判した。
ウィルダース氏は8月25日、来年3月のオランダ総選挙に向け、モスク(イスラム礼拝堂)の閉鎖やイスラム教の聖典コーランの禁止などを盛り込んだ「オランダの脱イスラム化」の公約を発表したばかり。世論調査で自由党は首位を維持している。
ゼイド氏はウィルダース氏と同様の政治家として、トランプ氏、仏極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(48)、英国の欧州連合(EU)離脱派をけん引した英国独立党のナイジェル・ファラージ前党首(52)らの名前を挙げた。
その上で「ダーイシュ(ISの別称)は大衆迎合主義者と類似の宣伝戦術を使っている」と指摘。「扇動政治家と一線を画して、声を上げよう」と訴えた。