「何年も勉強してるけど英語ができるようになったと実感できない」
英検やTOEICなどの資格試験の勉強をしている人や、英会話学校に通って会話の練習をしている人たちから、このような声を聞くことがあります。そして、そのような人たちにはある共通点があります。
それは、プライベートの英語学習法、つまり独学の仕方が良くないということ。もちろん、すぐに英語力の伸びを実感できるような方法などないのですが、少しでも早くできる方法はあります。
そこで今回は、その方法、言い換えれば外国語という「暗号」のようなものを自分の「言葉」に変えてしまう方法をみなさんにシェアしたいと思います。英語学習の質がグン!とアップしますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
実は英語学習になっていない?多くの人がやりがちな学習法
初めに、文法学習や長文読解、リスニングなどの英語学習をする上で、ほとんどの学習者が共通してやっている学習手順を確認したいと思います。それでは文法学習を例にして学習者が「当たり前にやっていること」を見てみましょう。
想像してください。皆さんは今、TOEICの文法問題にチャレンジしています。
(A) scale (B) inventory (C) warranty (D) taste
分かった。答えは(B)inventoryやな。意味は「この卸売業者はたくさんのチリワインの商品在庫を持っている」か。よしよし inventory、商品在庫、inventory、商品在庫・・・
よし、次の問題へ〜
このように1問ずつ解答を確認するか、文法問題を全部やってから確認に移るかは別として、このような感じで各単語の意味と答えが分かれば、勉強は終わりにしますよね。
真面目な方なら、分からなかった単語を何度も書いたり発音したり、さらには自分の単語帳に追加したりもするかと思います。
日本語の意味を確認して終わりの勉強法
しかし最終的には、「inventory=商品在庫」という単語レベルに加えて、“This distributor has a large inventory of Chili wine.” 「この卸売業者はたくさんのチリワインの商品在庫を持っている」という文レベルで日本語の意味を確認することで1つの勉強としています。
また長文問題のときも、設問の答えや分からなかった単語の意味をきちんと日本語で確認して、全体の意味が分かったら終わりにする。さらにリスニングのときには、聞き取れなかった部分の確認や単語の確認などをして、その部分をもう一度か二度ほど聞いて確認したら終わり。多くの学習者がこんな勉強の仕方をしています。
「英語ー日本語置き換え学習」からの卒業
このように文字にして「学習の手順」を確認してみると、何かが大きく欠けていることがわかります。勘の良い人はすでに気づいたかもしれませんね。
この学習の手順を凝縮して書くとこのようになります。
「英語ー日本語置き換え学習」
そう。機械的に「英語を日本語に置き換えた」だけなのです。このように日本語で意味の確認をして終わってしまうと、それは結果的に国語の勉強をしているのと同じになってしまうんですよね。
日本人英語に欠けている”Internalizing English”って?
そして何が欠けているのかというと、
“Internalizing English”=「英語を自分のものにする作業」
“internalize”は「(習慣・原理・基準など)を身につける、自分のものにする;…を内面化する」という意味です(三省堂ウィズダム英和辞典第3版より)。
外国語学習をするとき、多くの場合は最終的に教材の日本語訳で意味を確認したり、辞書で意味を確認したりして内容をきちんと理解しようとしますよね。これは当然のことなのですが、ここで勉強を終えてしまうと途中で勉強を投げ出したのと同じになってしまいます。
例えるなら「5つの記号(s・t・u・d・y)というひとまとまりの暗号を見つけたら、『勉強する』という日本語の意味になる」のように理解しているのと同じ。もちろんその逆も然りで、日本語から英語に置き換えてアウトプットすることがよくあると思います。
しかしそのままでは、常に頭の中で2言語間を行ったり来たり…。何と何を置き換えればいいのかだけが分かっていても「日本語を挟まずに英語を自分の言語として操れる状態」にはなりません。
英語を「記号→言葉」に変えるためには?
“Internalizing English”
「英語を自分のものにする作業」
これは「第二言語習得論」で必ず登場する言葉ですが、「外国語を母国語のように感じ取って使えるようにすること」を意味します。「そんなこと、独学で一体どうやったらできるの?」という声が聞こえて来そうですが、これが自分の努力である程度できてしまうのです!
“English”を”internalize”する方法とは
まずはこの作業をするために必要な準備をしましょう。
【準備】
- リスニング問題のスクリプトを含む長文や会話文など、意味がよく分かり文脈がある学習素材を用意。
- 文法問題のような1行程度しか英文がない場合は文脈がないので、想像力を使ってその英文が使われている会話や場面を設定する。
すでに持っている教材の何かを使えばいいので、わざわざ新しいものを買う必要はありません。次に作業手順です。
【手順】
- まずは日本語訳で意味をしっかり確認。この段階で分からない単語や文法は分かるようにしておく。
- その英文が何を意味するのかを日本語で理解した上で、その感覚、感情、頭に浮かんだ情景など、できる限りの感覚を保持して英文素材を読む。
- 一度や二度ではなく、日本語で読んだ時と同じ情景が頭に浮かんだり、感覚を持てるようになるまで繰り返し読む。
母国語習得と同じ状況を作り出す
この作業でやっていることは、記号や暗号のように感じられる英語に「感覚を持たせて『言葉』にする」ということ。自分の母国語を習得した状況と似たものを人工的に生み出しているわけですね。
英語と日本語の間で対応する言葉を機械的に「置き換える」だけの作業では「英語を英語のまま理解する」ことはできませんし、自分の「思いを日本語から訳さずに伝える」ことができません。
つまり英語が使える状態にするには、文脈や想像を駆使して「記号としての英語」に意味や感覚を持たせ「言葉としての英語」を心に吸収していく必要があります。英語のプロの多くがフレーズの丸暗記に批判的ですが、その理由はここにあるのです。
普段の英語学習を一工夫
この学習法は言語習得の根本に迫ったものです。しかしながら、とても時間がかかる作業なので、多くの学習者はここに苛立ちを感じてしまうことでしょう。資格試験を目標としている人は「問題が解ければよい」や「受験日という期限がある」などの理由で気が進まないかもしれません。
そこで私がお勧めするのは、普段の英語学習の一部を “internalizing English” に充てる方法。この学習法にすべての時間を費やすのではなく、普段の英語学習の一部に組み込むのです。
みなさんが何年もかけて少しづつ語彙力をつけたように、「英語のままで意味が完璧に分かる英文」の数を蓄積していく。そしてこの作業を繰り返しているうちに、初めて読む英文でもドンドン読みやすくなり、いつしか読むスピードが上がっていることにも気づくはずです。
◯◯でさらに効果UP!!
ここまで「英語に感覚を持たせて『言葉』にする」ための学習手順について解説きましたが、さらにその効果を加速させる学習法があります。
それは音読です。
言語は元々、情報伝達のため、聞いて話すための道具です。読むことと書くことは習わなければできませんが、聞いたり話したりする能力は自然に身についていきます。
しかし多くの場合、第二言語としての英語学習では読んで適切な選択肢を選んだり、書いて答えたりする問題がほとんどなので、学習者はあまり英語を声に出す必要がありません。特に独学ではその状態に陥りやすくなります。したがって、英語力をアップさせたければ、そこを変える必要があるのです。
「なりきり音読」で英語を自分のものに
音読する際にぜひやっていただきたいのが「なりきり音読」。長文問題用の英文やリスニングのスクリプトなどを読む際には、登場人物になりきったり、誰かに話を伝えているナレーターになりきったりするのです。
そうすることで、英語と自分が持っている感覚がより結びつきやすくなり、英語を自分のものにしやすくなります。言語というのは自分が実際に使ったときに一番しっかりと記憶に残りますので、その状況を擬似的に生み出すには「なりきり音読」が最も良い方法だと言えます。
手持ちの教材に限らず、ドラマや映画で聞いたセリフでもぜひやってみてください。そしてこのような音読を繰り返していると、なんとリスニング力がアップするというオマケもついてきます!
また、英語は話す機会が多ければ多いほど力がつきますが、週1回の英会話学校などだけでは場数をこなしにくく、少し慣れたと思ったらまた感覚を失って…の繰り返しの人も多いかと思います。
その点、オンライン英会話を使えば、Skypeを使っていつでもどこでも英会話レッスンを受けることができますので、毎日の習慣にするにはもってこい!机に向かった独習もいいですが、実際のコミュニケーションを通じたアウトプットも意識するようにしましょう!
DMM英会話では無料体験レッスンを受けることもできますので、ぜひ試してみてくださいね!
まとめ
今回はプライベートの時間を使っていかに効率よく“internalize English”するのかについてお話しさせていただきました。
中学、高校、大学、英会話学校など、読者のみなさんは様々な環境で英語を学ばれていると思います。しかしどの環境を取って考えてみても、そこでの学習時間だけでは第二言語を習得することは難しく、自宅での学習が重要なキーとなります。だからこそ「学び方の質」を良くする必要があるのです。
また資格試験を目標として勉強されていてる方も多いと思いますが、今回ご紹介させていただいた学習法は、長期的に見ても資格試験にも大きく貢献してくれる学習法です。このことも含めて、学習の目的が英会話の上達であれ資格試験に合格することであれ、なるべく長期の計画を立てることをお勧めします。
短期間で英語の4技能(読む、書く、聞く、話す)が一気に上達する方法は決してありません。余裕のある計画を立てれば心にもゆとりができ、じっくりと「英語の習得」に臨めるというものです。
最後に、この記事がみなさんの英語学習の一助になれば幸いです。みなさんのご健闘をお祈り申し上げます。