韓国の海運最大手、韓進海運が法定管理(日本の会社更生法に相当)手続きの開始を申請したことで、各方面に予想を上回る悪影響が出ている。米国、日本、シンガポール、インドなど主要国の港で韓進海運の船舶に対する入港や荷役の拒否が相次ぎ、同社船舶141隻のうち約半分に当たる68隻が足止めされている。運航を正常化するには、まずは各国の港湾に未払いの代金数千億ウォン(1000億ウォン=約94億円)を支払わねばならないが、韓国政府や銀行団は「資金支援はできない」と繰り返すばかりだ。そのあおりで韓国から海外への輸出品が納期に間に合わない事態が続出するなど、輸出にも支障が出ている。
外国ではすでに、韓国政府が物流混乱を引き起こしたという批判が起きており、国への信頼度にも悪影響が出ている。政府は日曜日の4日にも関係省庁による会議を開き、代替船舶の投入といった対策を打ち出したが、この程度では事態収束の兆しさえ見えないと海運業界は指摘する。主務省庁の長官は「この先2-3カ月はかなりの困難が予想される」などと評論家のようなことばかり言っている。韓進海運は潰れる危機にあるが、その結果として運賃が上昇し、外国の海運業者だけをもうけさせる格好になっている。
韓進海運が法定管理を申請する可能性は、流動性危機が始まった今年5月からすでに予想されていた。にもかかわらず、政府は大株主の韓進グループと韓国産業銀行(政府系金融機関)に責任を押し付け、全く備えておらず、先月31日になってようやく対策会議を開いた。3カ月も傍観していた政府の事なかれ主義が、韓進海運の経営破綻(はたん)をどうすることもできない物流混乱に発展させたのだ。