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【外交・安保取材の現場から】
悪さを繰り返す隣人が突然それをやめると、よいことをしたかのように錯覚するが…そう、ドヤ顔のあの国です
悪さを繰り返す隣人が、突然それをやめた。それだけで何か良いことでもされたかのような錯覚を覚えそうだが、隣人に与えるべきは称賛ではなく、悪さへの批判や叱責であり、二度と繰り返さないための戒めだ。もし隣人が悪さをやめたことへの見返りを求めてきても、取り合う必要などまったくない。子どもでもわかる道理だ。願わくば、そんな厚顔無恥な隣人とは出合いたくないものだが…。
もちろん中国のことだ。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で活動する中国公船の数はここのところ減少し、領海侵入は8月21日を最後にゼロになった。領海の外側にある接続水域で活動する中国公船も、一時期に比べ鳴りを潜めている。
岸田文雄外相は8月末に来日した中国の王毅外相に、東シナ海での挑発行動を自制するよう強く求めた。これに対し王氏は「事態は既に正常に戻っている」と記者団に言い放っている。まるで日本が抱える問題を中国が解消してやったかのような“ドヤ顔”ぶりだが、そもそも誰が火だねをまいたのかにはまるで興味がないようだ。
こうした態度は日本に対してだけでなく、国際社会の場でも披露されている。
国連安全保障理事会は8月26日夜、中国も同意の下で、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの発射を「強く非難する」とした報道声明を発表した。7月以降、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する度に日米両国などは非難声明の発出を検討したが、中国が難色を示したため取りまとめられない状態が続いていた。中国はその方針を一転させ、声明を受け入れた形だ。
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