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ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦

中国を弱体化させるには韓・露との関係改善が必要だ

北野幸伯 [国際関係アナリスト]
2016年9月5日
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ロシアのメディアがバラした
中国の「対日戦略」とは?

 では、「中国の謀(=戦略)」とは何だろう?

 普通、戦略は他国、特に敵国には知らせないものである。なぜなら、敵国が戦略を知れば、対策をとることができるようになるからだ。

 しかし幸い、我々は中国の戦略を知っている。ロシアのメディアが、本来秘密であるはずの戦略を報じてしまったからだ。中国の「対日戦略」は、12年11月15日「ロシアの声」に掲載された、「反日統一共同戦線を呼びかける中国」という記事に出ている(全原文はこちら)。

 いままでに何度も取り上げた記事だが、今回は、さらに細かく見てみよう。同記事は、衝撃的な事実からはじまっている。

<中国の著名な専門家は、中国と同様、日本と領土問題を抱えるロシアと韓国に対し、反日統一共同戦線を組むことを呼びかけた。
この共同戦線は日本の指導部に対し、第2次世界大戦の結果を認め、近隣諸国への領土要求を退けさせることを目的としている。>



 中国は、ロシアと韓国に、「反日統一共同戦線」をつくることを提案した。その目的は、日本の「領土要求」を断念させること。「領土要求」とは、もちろん、「北方4島」「竹島」「尖閣」のことだ。

<郭氏は対日同盟を組んでいた米国、ソ連、英国、中国が採択した一連の国際的な宣言では、第2次世界大戦後、敗戦国日本の領土は北海道、本州、四国、九州4島に限定されており、こうした理由で日本は南クリル諸島、トクト(竹島)、釣魚諸島(尖閣諸島)のみならず、沖縄をも要求してはならないとの考えを示した。>(同前)


 「郭氏」とは、中国外務省付属国際問題研究所の郭憲綱 (ゴ・シャンガン)副所長のことである。曰く、日本に「北方4島」「竹島」「尖閣」の領有権はない。そればかりか、日本には「沖縄の領有権もない」という。

<こう述べる郭氏は、中国、ロシア、韓国による反日統一共同戦線の創設を提案している。日本に第2次世界大戦の結果を認めさせ、近隣諸国への領土要求を退ける必要性を認識させるために、この戦線には米国も引き入れねばならない。>(同前)


 もう1つ、日本人にとって驚愕の提案が飛び出した。既述のように、中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」をつくる。そして、「反日統一共同戦線」には、日本の同盟国・米国も引き入れねばならないと主張しているのだ。

 この濃い記事には、中国の「対日戦略」が明確に記されている。すなわち、

 1.中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくる。
 2.中国、ロシア、韓国は、共同で、日本の領土要求を断念させる。
 (日本には、沖縄の領有権もない)
 3.日本の同盟国である米国も、「反日統一共同戦線」に参加させる。

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北野幸伯 [国際関係アナリスト]

きたの・よしのり/1970年長野県生まれ。モスクワ在住24年の国際関係アナリスト、作家。その独特の分析手法により、数々の予測を的中させている。1996年、日本人で初めて、ソ連時代「外交官・KGBエージェント養成所」と呼ばれたロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を卒業(政治学修士)。1999年創刊のメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」は現在読者数3万6000人。ロシア関係で日本一の配信部数を誇る。主な著書に「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)、「プーチン最後の聖戦」、「日本自立のためのプーチン最強講義」(共に集英社インターナショナル)など。


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