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 日本統治時代に朝鮮半島から徴用されて働かされたとする韓国人被害者の遺族が三菱重工業に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は25日、同社に対して被害者1人あたり各9千万ウォン(約800万円)ずつを遺族に支払うよう命じた。

 同社や新日鉄住金、不二越に損害賠償を命じる判決が出た裁判は確認されただけで7件目で、今月19日も新日鉄住金に賠償を命じる判決が出たばかり。係争中は13件ある。韓国大法院(最高裁)は3件を審理中で、損害賠償を命じる判決を支持した場合、韓国内の被告企業資産が差し押さえられる可能性がある。

 一方、韓国鉄鋼最大手のポスコが8月5日、日本統治下で徴兵・徴用された韓国の被害者や遺族を支援する韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」に30億ウォン(約2億7千万円)を拠出した。財団側は将来、日本の政府・企業にも参加を呼びかける考え。

 日本統治時代に生じた被害や損失を巡る個人の請求権について、日本政府や企業側は1965年の請求権協定で解決済みとしているが、25日の判決は、この主張を退けた。日本の国家権力が関与した反人道的な不法行為などに、個人が損害賠償を求める権利は協定の対象外とした2012年の大法院判断にならった。(ソウル=牧野愛博)