情報セキュリティー会社、米アーバーネットワークスは6日、将来のサイバー攻撃を予測し、企業や政府機関に警告を発する拠点を東京に新設した。「スレットインテリジェンス(脅威情報)」と呼ばれるサービスで、外資系セキュリティー会社の国内参入が相次ぐ。同サービスに契約した企業は先回りして防御態勢を取ることが可能となる。
インターネットには、ハッカーが攻撃の相談をしたり、攻撃ソフトを売買したりする「ダークネット」と呼ばれる闇の空間がある。セキュリティー会社の分析官はダークネットに潜入し攻撃情報を集める。世界中に設置したネット監視機器から寄せられる攻撃情報も参考に、いつ誰が何を目的に、どこに攻撃を仕掛けるか予測し、契約企業に情報提供する。
先行する欧米では以前から脅威情報サービスが広く利用されているが、日本でもサイバーテロに警戒する東京電力ホールディングスなど、契約する企業が増えている。
企業は将来予想される攻撃をブロックできるように機器を配備するなど、先手を打つことができる。いつ攻撃を受けるか分からないまま、受動的に攻撃を待つ従来のセキュリティー対策よりも効果的な防御ができると期待されている。
アーバーネットワークスの幹部は、「4年後の東京五輪に向けて日本を狙ったサイバー攻撃が増える」との予想に基づき、東京に新拠点を構えた。同様に今年に入ってから米シマンテックや米ファイア・アイ、ロシアのカスペルスキー研究所のそれぞれの日本法人が国内で脅威情報サービスを始めている。