聞き手・高重治香
2016年8月23日03時05分
天皇陛下が退位の意向をにじませるお気持ちを表明をしたことを受け、天皇と「戦争の歴史」の関わりについて、「明仁天皇と戦後日本」などの著書がある河西秀哉・神戸女学院大准教授(日本近現代史)に聞いた。
◇
――天皇陛下が慰霊に取り組んだり反省のお言葉を繰り返し述べたりするのはなぜなのでしょうか。
二つの原体験が影響していると思います。子どもの頃に疎開して東京に戻ったら焼け野原だった、という戦争の体験。そして、皇太子時代の1953年にヨーロッパを外遊した際、イギリスやオランダで冷たい国民感情に触れ、戦争の影をシビアに感じた体験です。
――早いうちから外遊していたのですね。
かつて天皇は国外には行かないものとされ、64年に国事行為の代行についての法律ができるまで昭和天皇は海外に行けませんでした。なかなか外遊できなかったのは、昭和天皇が帯びている戦争のイメージも原因で、70年代に戦後初めてヨーロッパに行った時も現地のメディアが戦争責任を問題にしました。
昭和天皇が外遊できない分、皇…
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朝日新聞社会部
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