たけし毒舌“弔辞”　大橋巨泉さんお別れ会＆偲ぶ会

　急性呼吸不全のため７月１２日に８２歳で亡くなった司会者やタレントとして活躍した大橋巨泉さんの「お別れ会」と「偲ぶ会」が５日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、関口宏（７３）、小倉智昭（６９）、久米宏（７２）、みのもんた（７２）、徳光和夫（７５）ら後輩司会者、ビートたけし（６９）、プロ野球・ソフトバンク球団会長の王貞治さん（７６）、菅直人元首相（６９）、ファンら約８００人が故人をしのんだ。

　巨泉さんの葬儀は近親者のみで行われたため、生前親交があった著名人らが参列するお別れ会を企画。喪主の寿々子夫人（６８）が「せっかくだから、しのんでいただきたい」と、パーティー形式の「偲ぶ会」も続けて開催された。

　偲ぶ会の司会は、巨泉さんと４０年に渡り師弟関係にあった小倉。冒頭、「これまで巨泉さんの数々のイベントで司会をつとめて参りましたが、すべてノーギャラでした。今回が最後のご奉公になります」と笑わせた。

　オープニングは巨泉さんが司会をつとめていた深夜番組「１１ＰＭ」のテーマ曲を生バンドが演奏。０１年の参院選で巨泉さんに出馬を依頼した、菅元首相が献杯の音頭をとった。

　宴が盛り上がったところでたけしが登場。巨泉さんが司会をつとめた人気クイズ番組「世界まるごとＨＯＷマッチ」（ＴＢＳ系）など、数多くのテレビ番組で共演したが、「いい時代に生まれて世の中を牛耳って好き放題生きて、最後にこれだけ祝ってもらえるのはやっぱり大物」とおなじみの毒舌がさく裂。「野球の全盛期が長嶋さん、王さんだったら、テレビは巨泉さん。巨泉さんは今のテレビでは考えられない、いい時代で幸せだったなと思います」と功績をたたえつつ、「改めておめでとうと言いたい」と天国の巨泉さんにメッセージを送った。

　その後、取材に応じ、「巨泉さんが自分のことを『いい』って言ってくれて自分の仕事の助けになった」と感謝。自身の人生はこれまで波欄万丈だったが、「謹慎したり、交通事故にあったりした時も、呼ばれて必ず巨泉さんの家に居候してた。マイナスのことを言わず、優しい言葉をかけてくれた」と巨泉さんとの日々を懐かしんだ。「すごいよ、あの人は」とたたえつつ、「強すぎるから、あの世でゴルフやるの嫌だな」などと再び毒舌がさく裂。最後は、「上に向いて塩まかなきゃ」と苦笑し、報道陣を笑わせた。

　「お別れの会」の祭壇は、妻の寿々子さんの意向でカラフルな花６０００本で彩られた。

　遺影は、８年前に週刊誌の企画で撮った巨泉さんお気に入りのショット。左右にゴルフを楽しむ姿、５年ほど前にニュージーランドで魚を釣り上げたときの写真が飾られた。

　隣接する部屋には巨泉さんが司会を務めた「クイズダービー」と「世界まるごとＨＯＷマッチ」などのスタジオセットを再現、当時のＶＴＲを流したほか、仕事、趣味、プライベートという３つのコーナーを設け、秘蔵写真や愛用の品々を展示した。

　大の巨人ファンだった巨泉さんに、２０代のころから「王（ワン）ちゃん」と呼ばれかわいがってもらったという王さんは弔辞で「写真の通りのすばらしい笑顔で優しく声をかけていただいて、『もっと頑張らなきゃ』と尻をたたく材料にさせていただきました」と述懐した。

　寿々子さんは喪主あいさつで「主人はわがままで皆さんに知られておりましたが、わがままを補う優しさであふれていました。４７年間一緒にいられましたことを本当に幸せに思います」と亡き夫に感謝した。

　ＴＢＳ系「クイズダービー」で巨泉さんと共演した女優の竹下景子（６２）は「（当時）女子大生だった私をお食事にも連れて行っていただき、家族ぐるみの付き合いになりました。でも、宮崎美子ちゃんとか斉藤慶子ちゃんとか、かわい子ちゃんがたくさん（番組に）来るようになってから、とたんに冷たくなりましたね」と暴露して取材陣を笑わせた。

　お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光（５１）は、ＴＢＳラジオ「爆笑問題の日曜サンデー」に何度もゲスト主演した巨泉さんと、政治問題をめぐってしばしば舌戦を繰り広げてきた。相棒の田中裕二（５１）は「巨泉さんはムキになって子供になってくれるからやりやすかった。太田も子供だし。結局根っこは一緒です」。太田も「絶対平和主義は巨泉さんが貫いてきたこと。『今当たり前と思っていることは１８０度変わることがあるから、常に価値観を疑ってかかれ』というのは（格言として）肝に銘じています」と話した。

　◆主な参列者　ビートたけし、竹下景子、うつみ宮土理、久米宏、関口宏、小倉智昭、露木茂、徳光和夫、みのもんた、樋口久子、松島トモ子、黒鉄ヒロシ、谷隼人、ラッシャー板前、湯川れい子、なかにし礼、長山藍子、小松政夫、せんだみつお、ケント・ギルバート、デーブ・スペクター、大村崑、中野浩一、青木功、中嶋常幸、王貞治、江本孟紀、衣笠祥雄、菅直人、河野洋平、辻元清美　（敬称略）