トップページ > ワイン雑感 > ワインにもある「偽装」格付け

« Raig de Raïm 2006 DO Terra Alta Celler Piñol | トップページ | Campi Flegrei Falanghina 2006 Cantine Farro »

2007年08月28日

ワインにもある「偽装」格付け

ことの発端は2007年6月8日(金)のJ.C.オカザワさんの記事であります。ここに登場する「2本目の赤ワインは、クロ・ド・ウルシュルのボーヌ・グラン・クリュ'61年」の下りにクレームを付けたのですが、逆に「確かにそう書いてあった、大の大人が何人も確認した」と反論を頂くことに相成りました。法律的にはボーヌにはグラン・クリュは存在しませんが、実際そう書いてあるワインが存在するのを知るに時間は掛かりませんでした。何とJ.C.オカザワさんとその問題のワインを一緒に飲んだのは私の知人だったのです。さらに彼はそのワインと同じ表示の1920年代の物を所有していることも分かりました。と言うことは1920年代から1960年代の長きにわたりプルミエ・クリュにも拘わらず「グラン・クリュ」と偽装表記していたことになります。
ルイ・ジャドー社には何度も訪問してこの「Beaune Clos des Ursules」(ボーヌ・クロ・デ・ズルシュール、J.C.オカザワ氏の日本語表記は間違ってます)もいろんなヴィンテージを飲んだつもりでおりましたが、実際ラベルには気が付きませんでした。ジャドー社の有名人、ジャック・ラルディエール氏とは何度か一緒に食事をした経験があり信頼しきっていた訳ですが、まさかこんなことになろうとは夢にも思いませんでした。
ワイン大学創立当時からのメンバーに電話で聞いてみると「そんなんあれへんやろう」との返事でしたがブルゴーニュに詳しい知り合いがいて三日後でしたか「あった、あった写真にも写っている」とのこと。早速その写真の掲載がある書籍を買い求めることに。

この書籍「The Great Wines of Burgundy」は現在日本での発売は恐らく無いはずで遥か彼方外国からの購入となってしまいましたが、着いたらなるほどあるはあるは! ルイ・ジャドー社の好き放題の偽装格付けのオンパレード。先ずはそのクロ・デ・ズルシュールの1969年エチケット、何とご丁寧にこのラベルは事実と違う旨の解説まで付いています。ハッキリと「Grand Cru (Seul Prop re.)」、グラン・クリュ(スール・プロプリエテールはモノポールと同義語Seul Propriétaireの略)とあるのですが1961年から8年後のヴィンテージであります。さらに「Beaune-Theurons 1971」にも「Grand Cru」表示があります。もっと面白いのはCorton-Pougets」、何とグラン・プルミエ・クリュ(Grand 1'er Cru)の表示があります。こういう独自の(勝手な)格付けがまかり通っていたのですから驚きであります。このコルトン・プージェのヴィンテージは1971年ですが、私の記憶が正しければ1980年代に飲んでいたはずです。ボルドーにプルミエ・グラン・クリュ・クラッセというのは存在しますが、ブルゴーニュにそんな言葉や格付けは存在しません。
とにかく格付けの偽装は明らかであり、ルイ・ジャドーそのものの信用低下に繋がるのではないかと懸念する次第であります。

posted by:Georges :

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)