「都民ファースト」は本当か?
豊洲新市場への移転延期が波紋を広げている。
小池百合子都知事が8月31日に記者会見を開き、11月7日に予定していた築地市場の豊洲への移転に待ったをかけた。その理由は「豊洲の地下水の調査が終わっていない」からだった。都民の安全第一(「都民ファースト」)で考えたからこその決断だと知事は説明した。
だが移転延期の理由はそれだけではない。安全とまったく異なる次元の理由をもうひとつあげている。豊洲新市場の総事業費が膨張していることだ。09年の計画時の4316億円から5884億円まで膨れ上がっている。「利権」の塊になってやしないか。その精査にも時間が必要だという。
都知事選を通じて、小池都知事と自民党都連は互いに敵愾心を剥き出しにしてきた。「利権」の構図を暴きだし、都政を都民の手にとりもどすという小池知事の主張はじつにもっともで、多くの都民から支持された。だが理想主義だけで政治家が動いているわけではない。政治の本質は権力闘争だ。時の政権を渡り歩いてきた小池知事は誰よりもそれを熟知しているはずである。