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2016年09月06日 08時34分 UPDATE

「社員全員残ってほしい」とシャープ新社長 「人員削減」トーンダウン 「アメとムチ」で徹底管理 (1/3)

鴻海の出資を受け、始動した「新生シャープ」。戴新社長は全社員に「早期黒字化を実現し、輝けるグローバルブランドを目指す」と題したメッセージを出し、経営方針を明らかにした。

[産経新聞]
産経新聞

 台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の出資を受け、始動した「新生シャープ」。鴻海グループ副総裁でもある戴正呉(たい・せいご)新社長は8月22日、全社員に「早期黒字化を実現し、輝けるグローバルブランドを目指す」と題したメッセージを出し、経営方針を明らかにした。メディアにも全文公開するという異例の対応で、非情な覚悟がうかがえる。内容たるや、給与減額の見合い分を手当として支給する一方で、管理職の降格もある「信賞必罰」制度を強調し、「アメとムチ」政策が鮮明に。人材流出が続く中、人心を掌握しながら構造改革を進めていく難しさが手に取るようにわかる。(織田淳嗣)

流出食い止めて

 「皆さんと私は仲間です。一緒に困難を乗り越え、早期の黒字化を果たしましょう!」

 戴社長のメッセージはこう締めくくられた。いかにも“友愛的”だ。

画像 新体制始動のためシャープ本社に出社し、報道陣の取材に応じる戴正呉社長=8月22日午前、堺市堺区(寺口純平撮影)
画像 戴正呉社長の社員向けメッセージ

 戴社長は、鴻海の出資を「買収ではなく投資」「シャープは引き続き独立した企業」とシャープの独立性を強調。「誠意と創意」を掲げた創業の精神については、「引き続き根幹となるもの」とするなど、全体にシャープを気遣う記述が目立った。

 一般社員に実施してきた2%の給与カットについても、メッセージの中で減額の見合い分を手当として支給することを表明。管理職も成果次第で支給されることになった。戴社長は6月に、国内外の従業員約4万3千人のうち7千人規模の削減も示唆していたが、22日に堺市の本社に詰めかけた報道陣に対し、「できれば今の社員は全員残ってほしい」とトーンダウン。人員の適正化は基本的には配置転換で対応する考えも示した。

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