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2016年09月06日 08時31分 UPDATE

中国、世界初の量子実験衛星打ち上げ成功、その背景は……「世界中の技術吸収した」 (1/3)

中国が世界初の量子科学実験衛星「墨子」の打ち上げを成功させ、通信技術の専門家から「スパイ防止の技術開発で中国が飛躍する」と警戒の声があがっている。

[産経新聞]
産経新聞

 中国が世界初の量子科学実験衛星「墨子」の打ち上げを16日に成功させ、通信技術の専門家から「スパイ防止の技術開発で中国が飛躍する」(米メディア)と警戒の声があがっている。衛星はハッカーによる機密取得を阻止できる量子通信の実験を行う。国の威信をかけ巨費を投じたプロジェクトにより、中国はサイバー時代の先端テクノロジーで先頭に立つのか−。

 衛星は16日未明、甘粛省の酒泉衛星発射センターからロケット「長征2号丁」を使って打ち上げられた。「宇宙での量子実験に新たな道を開く」。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、プロジェクトを統括する中国科学技術大学の潘建偉教授の声を伝え、実験が成功すれば、中国は世界がしのぎを削る新技術の最前線に躍り出ることになると伝えた。

 量子通信は、量子力学の知見を基礎に、盗聴や暗号解読が困難な安全性の高い通信が可能になるとされ、欧米各国などが基礎研究を進めている。仮に通信傍受を試みたり、通信内容を書き換えようとすると、通信内容自体が“崩壊”する。理論的にハッキングはまず不可能とされることから、軍事機関も高い関心を寄せている。

 量子通信の技術開発は欧州や米国、日本などが取り組み、地上での通信実験はすでに行われている。ただ「墨子」のように、宇宙と地上間の通信を介した実験は初めてとなる。

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