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【群馬】

「治安維持法、俳人まで」多喜二祭で金子兜太さん

「暗い時代に戻さないで」と訴えた金子兜太さん=伊勢崎市の伊勢崎市民プラザで

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 俳人の金子兜太(とうた)さん(96)が四日、伊勢崎市内で「戦前のこと・戦中のこと」と題して講演した。作家らが表現をめぐって抑圧された当時を振り返り、「暗く不愉快な時代に戻さないで」と訴えた。

 伊勢崎多喜二祭実行委員会が企画した。実行委は、治安維持法下の一九三一年九月、講演のため伊勢崎を訪れたプロレタリア作家小林多喜二(一九〇三〜三三年)を当局が不当に拘束し、反発した聴衆が釈放させた出来事を歴史に残そうと、この時期に多喜二祭を開いている。

 金子さんは、同法の拡大解釈で新興俳句運動を進めた恩師も摘発されたとして「川柳作家、俳人まで巻き込まれた」と批判した。

 一方で一昨年、集団的自衛権行使容認に反対するデモを題材に「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ俳句を、さいたま市の公民館が月報に掲載するのを拒否した問題で、作者の女性が表現の自由の侵害に当たるなどとして、市と係争中であることにも触れた。俳句表現の正当性を主張する女性作者の姿勢を好感し「日本が文化国家になった現れだと感じる」と話していた。 (古賀健一郎)

 

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