「関心」を起点に運営する「インタレスト・ベースド・マネジメント」
東日本大震災後に立ち上がり日本最大級の支援組織になった「ふんばろう東日本支援プロジェクト」では、数千人のボランティアに無給で働いてもらう必要があったことから、マーケティングから資金調達、組織運営に至るまで「関心」を起点として運営していた(これを「インタレスト・ベースド・マネジメント」と呼ぼう)。具体的には、まず物資、家電、重機、PC、手紙、ミシンといった多種多様なプロジェクトからなる総合支援プロジェクトにしたことにも、単に幅広い支援活動を行うということ以上の理由がある。支援者の関心は多様である。関心を多角的にカバーすることで、HPを訪れた支援者が「これなら支援したい」と思えるプロジェクトを見つけることができるようにしたのだ。
多様なプロジェクトがあることは、ボランティアしたい人にとっても、関心があるプロジェクトを選ぶことができることを意味する。関心があるということは、活動することそれ自体に価値を見出せるということである。外発的動機といわれる金銭的報酬が動機にはなりえない無償のボランティアにとっては、こうした関心にかなう内発的動機が決定的に重要になる(繰り返すがこの内発的動機の重要性は営利活動においても変わるものではない)。
またミーティングや通常運営しているFacebookグループ上で、「こういう活動もやったほうがよいのでは」という意見が出た場合には、「では、ぜひやってみてください」とまずは提案者にやってもらうようにしていた。提案するということは、その人はそのことに関心があり、自分のアイディアは価値があると思っていることに他ならず、まずはその人にやってもらうのが最も理に叶っているためだ。
その提案者が能力的にリーダーに向いている人であれば、その人に継続してやってもらえばよい。しかし提案者が必ずしも、リーダーに向いているとも限らない。サポートに向いている場合もあれば、裏方に向いている場合もある。では、どういう場合に、リーダーに向いていないと判断するか。一言でいえば、プロジェクトが動かないときだ。提案者はファウンダーとしての称号は消えるわけではないのだから、そうした場合、適材適所の観点から、適任者にリーダーになってもらったほうがよい。しかし、立ち上げ時は、動機(関心)がなければ何も始まらないため、まずはやりたい人にやってもらうのがよいだろう。