オバマ米大統領と中国の習近平国家主席は3日、中国・杭州の名勝、西湖を散策し、ほほえむ姿を対外的には演出した。しかし、会談では終末高高度防衛ミサイル(THAAD)、南シナ海、人権など敏感な安全保障問題をめぐり、4時間にわたり真っ向から対立した。特に習主席はオバマ大統領に面と向かって「THAAD反対」を主張した。
オバマ・習近平会談に続き、5日には朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と習主席が会談する。外交筋は4日、「主な安全保障問題をめぐり米中が真っ向から対立する状況で韓国が『THAAD外交』を展開している格好だ。THAAD問題が米中対立の中で重大な分水嶺を迎えた」と語った。
朴大統領はひとまず「北朝鮮が核を廃棄すればTHAADを廃棄する」という「条件付き配備」のカードでヤマを乗り切ろうとしている。2日の韓ロ首脳会談でプーチン大統領は「THAAD反対」を公式には表明せず、極東開発における協力を強調した。韓国の魏聖洛(ウィ・ソンラク)元駐ロシア大使は「ロシアは(クリミア併合以降)西側・米国との関係が悪化している状況で韓国と良好な関係を維持する必要があり、極東開発など経済問題でも韓国との協力が必要なことから、あえてTHAAD問題を取り上げなかったのではないか」と指摘した。
5日の韓中首脳会談で習主席がTHAADについてどのような態度を示すかは未知数だ。韓国外交部(省に相当)はやや楽観ムードだ。一方、北京の外交関係者の間は「習主席はどんな形であれ、THAADに言及する」との見方が有力だ。韓国外交部関係者は「韓中首脳会談を前に事前の調整作業を十分に行った」と述べ、韓中首脳会談で両国が対立する可能性は低いと予想した。
韓国外交部は4日、杭州で開かれる主要20カ国・地域(G20)の非公式外相昼食会で尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が中国の王毅外相と肩をたたいたり、手を握ったりしながら談笑する写真を配布した。金聖翰(キム・ソンハン)高麗大教授は「中国はG20首脳会議という自国でのイベントに『客人(韓国)』を呼んでおいて言い争う姿を見せたくはないはずだ」と話した。中国はTHAADをめぐり、国内世論に配慮し、米国には強硬な態度を取っても、周辺国への包容ぶりをアピールするため、韓国には融和的な態度を示すのではないかと見方だ。