国民が葬った民主主義…改憲へ衆参独裁政権誕生の絶望<2>
■壊憲政権が信任され、さらに巨大化という悪夢
「ヒトラーは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って出てきたんですよ。彼はワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあって出てきた。常に憲法は良くても、そういうことはあり得るということ」――。今から3年前、麻生財務相が放った言葉を改めて聞くと、現状をあまりにも言い当てていてゾッとする。
「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と続く大妄言だが、安倍政権は「ナチスの手口」をしっかり学んできた。九州大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)はこう言った。
「憲法の定める基本的人権や知る権利を踏みにじる特定秘密保護法の強行採決に始まり、閣議決定だけで武器輸出を47年ぶりに解禁。揚げ句が集団的自衛権容認の解釈改憲で、安保法制による『立法改憲』とセットで9条を空文化させた。一連の憲法無視の“壊憲政治”は、悪名高い全権委任法を成立させてワイマール憲法を葬り去ったナチスの手口さながら。こうした強引な政治手法こそ、安倍政権は国民の審判を仰ぐべきなのに、今回の選挙も憲法無視の政治姿勢や改憲の野望などの争点化を巧妙に避けた。これも『誰にも気づかせない』というナチスの手口に学んだ結果でしょう」