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西湖の清らかな風光で知られる浙江省杭州は今、情報技術など中国における新…
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西湖の清らかな風光で知られる浙江省杭州は今、情報技術など中国における新産業の一大拠点でもある。習近平(シーチンピン)国家主席は、かつて自らの任地だったこの古都を主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場に選んだ。
08年のリーマン危機を受けて始まったG20首脳会議は、足元の経済対策に注目が集まりがちだが、中長期的な課題を協議する役割も担っている。
議長役の習主席には、世界経済の持続的成長に向けた取り組みを主導し、その姿勢と力を内外にアピールする狙いがあっただろう。だが、取り上げられた課題の多くは、ほかならぬ中国に向けられたものでもある。
国際通貨基金(IMF)によれば、今年の世界経済の成長率見通しは3・1%で、かなり低い水準だ。昨今の中国は世界の成長への寄与度が3割にも及び、言い換えれば中国経済の不振と不安定さこそが世界経済の大きなリスクになっている。
G20で特に問題視されたのが、鉄鋼をはじめとする中国の過剰生産力だ。安価な輸出を通じて国際市場に悪影響を与えており、欧米からは「雇用を奪っている」との声が上がる。
ただ、この問題は中国にとってもかじ取りが難しい。対応を誤れば、国内の雇用はもちろん、不良債権問題を通じて金融不安に波及するおそれがある。
過剰生産力は、リーマン危機後に「世界経済を救った」と称された大型景気対策のツケでもある。財政と金融の両面に目配りしつつ、産業構造の転換を図れるか。「すべての政策手段を用いる」としたG20での議論は、各国の手詰まり感とともに、中国が抱える課題の大きさをも示している。
中国は一方で、昨年の国連サミットで採択された「持続的開発のためのアジェンダ2030」を積極的に取り上げた。あらゆる人々の生きる権利を保障するため、貧困や保健、教育、住環境といった幅広い課題について改善目標を定めており、G20の首脳レベルで支持を確認した意義は小さくない。
これらもまた、中国自身の取り組みを促す。国内では今も数千万人の貧困層を抱え、深刻な水質汚濁、大気汚染に悩まされる人々がいる。農山村の教育環境は大都市に大きく劣る。
着実に経済成長を続けつつ、その果実を国民全体の生活の安定と向上につなげ、さらなる経済発展への土台とする。
中国に求められるのは、そうした経済・社会政策を、大国としての自覚のもとで、各国と協調しつつ展開することだ。
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