オバマ米大統領の任期中最後の訪中を中国側が冷遇したのではないかという論議が巻き起こっている。
3日午後2時(現地時間)、専用機「エアフォースワン」で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる中国・杭州に到着したオバマ大統領は、中国側がレッドカーペットの敷かれた移動式タラップを提供せず、専用機中央の扉を開き、機体付属のタラップで降り立った。韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領、ロシアのプーチン大統領ら大半の首脳がレッドカーペットで迎えられた。
現場にいた中国の当局者は、オバマ大統領が到着する様子を取材するためにタラップの下で待機していた米国のテレビカメラに立ち去るよう叫ぶ場面もあった。ホワイトハウス職員が「我々の大統領であり、我々の飛行機だ」と抗議したが、当局者は「ここは中国であり、中国の空港だ」と言い、取材を阻んだという。英ガーディアンは「中国が巧妙にオバマ大統領を侮辱した」と報道。香港メディアによると、中国外務省当局者は「米国が警備上の理由でレッドカーペットの使用を断ったものだ」と反論した。
オバマ大統領と習近平国家主席の首脳会談も終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題と南シナ海問題などをめぐり真っ向から対立した。中国外務省によると、習主席はオバマ大統領に「中国は米国がTHAADを韓国に配備することに反対する。中国の戦略的安全利益を実質的に尊重するよう求める」と述べた。
5日に開かれる朴大統領と習主席の会談でもTHAAD問題が話し合われる見通しだ。朴大統領はTHAAD配備の正当性を説明し、北朝鮮の核問題解決に向けた中国の役割を強調する構えとされる。それに対し、習主席がどんな反応を示すから関心事だ。
これに先立ち、3日に行われたプーチン大統領との首脳会談ではTHAAD問題に対する公式の言及はなかった。