輸出入への悪影響も予想を上回っている。韓国LG電子の趙成珍(チョ・ソンジン)社長は「(韓進海運の事態が)予想よりも良くない方向に向かっており、心配だ。ブラックフライデー(米国のクリスマス・セールが始まる11月の最終金曜日)などが目前に迫っており、在庫でカバーし切れるかどうか分からない」と懸念を示した。
また、韓進海運船舶の運航がストップしていることを受け、中国や台湾など海外の海運会社が釜山港経由の路線を強化している。海運業界の関係者によると、中国国有の海運最大手、中国遠洋(コスコ)や台湾の陽明海運などが釜山港に入港する船舶の数を増やしている。日本や欧州の海運会社も「韓進海運の仕事を狙っている」という。国内外の港湾に停泊中または足止めされている韓進海運の船舶は4日現在、計68隻で、前日に比べ15隻増えた。
韓進海運による法定管理申請の波紋が広がると、韓国政府は海洋水産部(省に相当、以下同じ)が主導していた非常対策班を4日から企画財政部や外交部など9省庁による合同対策タスクフォースに拡大。すぐに路線を増やすことが難しい地域には、韓国海運会社の中間定着地(寄港地)を追加することを決めた。
これに対し、業界は「現実的に動員できる韓国海運会社は現代商船しかなく、実効性はほぼない」と指摘する。物流混乱を最小限に抑えるため、外国港湾の荷役業者などに対し政府が韓進海運の代わりに支払い保証をするといった、より積極的な対策を取るよう求めている。