首相のCDU 地方で敗北 「反難民」が第2党に
【ベルリン中西啓介】ドイツ北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州で4日、州議会選が投開票された。難民問題が最大の争点になった選挙では、難民受け入れに反対する新興右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が初めて議席を獲得、メルケル首相の政党キリスト教民主同盟(CDU)を抑え、第2党に躍進した。
州内に選挙区を持つメルケル氏にとって地元での敗北は痛手。一方で、州はネオナチとの関係が指摘される極右政党・ドイツ国家民主党(NPD)が全州議会で唯一の議席を持つなど、1990年の独統一以降、極右支持層の基盤が強い。選挙結果が政府の難民政策に影響することはないが、来年秋の連邦議会選に向け、次期首相候補をめぐる与党会派内のメルケル支持派と保守派の駆け引きが強まりそうだ。
州政府によると、国政与党の社会民主党(SPD)が30・6%を獲得し、第1党の座を維持。AfD20・8%、CDU19%が続いた。州議会では2006年以降、SPDとCDUによる大連立政権が続いており、AfD躍進による州政への影響は限定的とみられている。AfDに支持者を奪われたNPDは議席を失った。
メルケル氏は5日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた中国・杭州で記者会見し「残念な結果だ」と敗北を認めた。一方で難民政策の判断は間違っていないとし、「信頼を取り戻すため、全力で取り組まなくてはいけない」と述べた。